R:なるほど。世界的に見て、原子力事業から撤退する会社が多々ある中で、日本勢は世界の原発の勢力図から見て いくと、今や最大勢力になりつつあるのですね。なぜ日本の原子力関連会社がそこまで原発に執着するのか不思議です。しかも、福島でこれほど大きな事故を起 こしているというのに。

小出:米国という国が、世界の原子力を牽引してきました。ゼネラル・エレクトリックとウエスティングハウスなの ですが、その米国ではもう四半世紀以上にわたって新しい原子力発電所の建設がないということで、GEもウエスティングハウスも生産ラインを全てもう失って しまっているのです。

R:もう何もないのですか。

小出:そうです。ですからGEやウエスティングハウスが原子力で金儲けをしようと思うと、日本を使って実物を造って売り込んで、パテント(特許)を握って儲けるという方法しかないわけで、米国が日本を逃がしてくれないという構図があるのだろうと思います。

R:ただですね、そういう背景には、安倍総理大臣自らがトップセールスをかけて、海外に原発を売り込んでいることがあります。やはりそういう国策というものが、原発関連事業の大手3社を後押ししている部分もあるのでしょうか。

小出:当然あります。日本では、原子力発電というのは平和利用と言われてきていますが、実は日本の国というの は、平和利用と言いながら、核兵器を造る潜在的な能力を持ちたいがために、原子力発電をやり続けてきたわけです。今でも原子力を放棄してしまうと、核兵器 を持つという点でマイナスになってしまうので、原子力は放棄できないというようなことを自民党の首脳たちがいまだに言っている。つまり、原子力からもう抜 けることはできないと思っているわけです。
そして、安倍さんはとにかく経済最優先ということで、金儲けと言っているわけですから、原子力も使って金儲けをしたいということになっているわけです。

※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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