IS少年軍事訓練所から脱出したダハム君。「今も友だちが訓練所にいる。なんとか生き延びてほしい」と話した=イラク北部クルド自治区で2015年4月、撮影玉本英子(アジアプレス)

IS少年軍事訓練所から脱出したダハム君。「今も友だちが訓練所にいる。なんとか生き延びてほしい」と話した=イラク北部クルド自治区で2015年4月、撮影玉本英子(アジアプレス)

 

◆少年に「殺し方」学ばせる訓練所
日本で14歳といえば中学生。友だちと買い物に行ったり、ゲームをしたりと、楽しい日々だろう。一方イラクやシリアでは、人を殺すための訓練を強いられている同じ年齢の少年たちがいる。2015年4月、イラク北部クルド自治区で、過激派組織「イスラム国」(IS)の少年軍事訓練所から命がけで逃げてきたダハム君(仮名)に会った。サッカーが大好きな彼は、少数宗教のヤズディ教徒だ。イラク北西部にある村に暮らしていたが、2014年8月、ISが村を包囲。戦闘員らは村人を男と女に分け、イスラム教への改宗を受け入れなかった男たちを、その場で射殺した。彼の父親も殺されたとみられる。

女性と子どもは、シリアのIS支配地域へと移送された。ISが「首都」とするラッカに送られたダハム君は弟、母親とともに「奴隷」として50代の戦闘員に買われた。だが母親だけを男の家に残し、兄弟は少年軍事訓練所に入れられた。約5カ月間にわたり、銃の扱いや敵の殺し方を学ばされた。

訓練所にはおよそ120人の10歳から15歳ぐらいまでのヤズディの少年たちが集められ、夜は体育館のようなところで全員が毛布にくるまって寝た。暗闇の中、何人ものすすり泣く声が聞こえてきたという。

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