ヤズディ教徒の新婦(左・18)は、ISに拉致され強制結婚させられたが、脱出を果たし、その後、ドイツへ。ヤズディ教徒難民の新郎(右・17)とともに。(4月3日ドイツ北部 撮影玉本英子(アジアプレス)

◆ドイツで新たな人生の門出
武装組織「イスラム国」(IS)の迫害を受け、庇護を求めてドイツに滞在しているイラクのヤズディ教徒たち6組が合同で結婚式をあげた。新婦はいずれも、ISによって拉致され、戦闘員と強制結婚させられ、命がけで脱出してきた女性たちだ。現在、ドイツ政府の支援で心の傷を癒すためのメンタルケア・プログラムを受けている。

ドイツで行われた、ヤズディ教徒66組の合同の結婚式。新婦はいずれもISに拉致され、脱出した女性たちだ。「彼女たちは被害者であり理解を」とのメッセージも込めて、合同の結婚式という形で行われた。(44月33日、ドイツ・ハノーバー 撮影:玉本英子)

ドイツで行われた、ヤズディ教徒6組の合同の結婚式。新婦はいずれもISに拉致され、脱出した女性たちだ。「彼女たちは被害者であり理解を」とのメッセージも込めて、合同の結婚式という形で行われた。(4月3日ドイツ北部 撮影玉本英子(アジアプレス)

2014年8月、ISはイラク北西部シンジャルのヤズディ教徒居住地域を襲撃、住民に改宗を迫り男性を次々と殺害したうえ、女性と子どもは強制連行し、「戦利品・奴隷」として分配した。新婦のひとり(18)は村を襲撃され、モスル郊外へ拉致されたのちIS戦闘員と強制的に結婚させられた。「銃をつきつけられ連れて行かれ、過酷な経験を強いられた」と言う。拉致から3か月後、地元住民などの助けで脱出を果たし、イラク・クルド自治区に逃れたのち、昨年ドイツに庇護支援を受けることになった。新郎(17)は現在、難民庇護申請をし、認定を待っている。新婦とはクルド自治区内の避難民キャンプで出会い、結婚を決めたという。

「彼女に初めて会ったとき、一目ぼれしてしまった。彼女は何も悪いことはしていないと家族は理解してくれた。彼女を一生守る」とガジさんは話す。
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