陸前高田市の佐々木道さん(中央)。次男を津波で亡くしたあと、次々と親族の「震災関連死」を目の当たりにした。(うずみ火)

陸前高田市の佐々木道さん(中央)。次男を津波で亡くしたあと、次々と親族の「震災関連死」を目の当たりにした。(うずみ火)

 

◆定義あいまいな「関連死」

震災関連死とは、建物の倒壊や火災、津波など地震による直接的な被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡すること。関連死と認められれば、生計維持者は500万円、それ以外は250万円の災害弔慰金が、国から市町村を通じて遺族に支給される。

復興庁の統計によると、昨年9月末現在で3407人。うち福島県民が半数以上の1979人を占めている。

岩手県は東北被災3県の中で最も少ない455人。市町村別では釜石市が104人で最も多く、次いで山田町の82人。死者・行方不明者が最も多い陸前高田市は6番目の46人。自治体によって認定率に大きな差がある。なぜか。

市の被災者支援室によると、「国の基準がはっきりしていないから」だという。震災関連死に対する国の定義、判定基準はないのだ。

震災関連死かどうかは市町村で判断するのが原則で、国が参考例として被災地に紹介したのは、2004年の新潟中越地震で長岡市がつくった「長岡基準」。「震災後1カ月以上経過した場合は震災関連死の可能性が低い」とか、「死亡まで6カ月以上経過した場合は震災関連死ではないと推定する」などとあり、避難生活が長期にわたる東日本大震災に当てはまるとは思えない。
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