「パンディ」と呼ばれる中国系ムスリムの人たちが集う「清真寺」。清真寺とは、中国圏ではイスラム寺院(モスク)の総称だ。(撮影 宇田有三)

「パンディ」と呼ばれる中国系ムスリムの人たちが集う「清真寺」。清真寺とは、中国圏ではイスラム寺院(モスク)の総称だ。(撮影 宇田有三)

<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題(1)へ

Q. それではロヒンギャ・ムスリムの人も 「バー・ルゥーミョー・レー?(あなたは何人〈何民族ですか〉?)」と聞かれたら、「ミャンマー(人)」と答えるのですか?
A.
 イスラームを信奉している人たちだけは違いました。彼らは「ムスリム」と返答するのです。

Q. 「ミャンマー・ルゥーミョー(ミャンマー国民)」という返事ではなかったのですか?
A. そう答えてくれた人は記憶にありません。ムスリムの人たちにとって、<自分の属する集団=国家>よりも<自分の属する集団=イスラーム信仰共同体>という意識の方がより強いと考えられます。もしかしたら英語で「国籍は何?」って聞いたら「ミャンマー」と答えるかも知れませんが…。この「ムスリム(人)」という返答は、年代・地域が異なっても変わることなく一貫して同じでした。

Q. じゃあ、ミャンマーでは、ムスリムとはイスラームを信奉するというイスラーム教徒というよりも民族(人)として考えた方が現地の社会実情に合っている、ということですか。
A. 
その通りです。ムスリム人(民族)といってもいいでしょう。私の知り合いの仏教徒やキリスト教徒たちも、イスラームを信奉している人たちのことを「ムスリム人」という表現をしていました。

同じような事例は、例えばスリランカでは、シンハラ人、スリランカ・タミル人、インド・タミル人というに区分けに加えて、スリランカ・ムスリムという呼び方もあります。またヨーロッパのバルカン半島で起こったユーゴスラビア紛争の際、例えばコソヴォではセルビア人、アルバニア人という呼称とともにムスリム人という区分けもありました。

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