ロヒンギャたちが暮らすバングラデシュのコックスバザール市には、数は少ないが、ミャンマー側から仏教徒のラカイン人も軍事政権からの迫害などを理由に避難している。※名前など一部を隠しています(撮影:宇田有三)

ロヒンギャたちが暮らすバングラデシュのコックスバザール市には、数は少ないが、ミャンマー側から仏教徒のラカイン人も軍事政権からの迫害などを理由に避難している。※名前など一部を隠しています(撮影:宇田有三)

 

<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題(1)へ

Q. それでは、バングラデシュの東南部コックスバザール付近のロヒンギャの人たちの人口はどのくらいなんですか?
A.
実は詳しい資料はありませんし、ロヒンギャの人口調査をしているという話も聞きません。ただ、難民キャンプ内に関しては統計があり、公式・非公式合わせて3~5万人ほどということです。実際に公式難民キャンプで支援に当たっているバングラデシュ人のスタッフからは、「難民キャンプ内では、家族計画の実施が順調ではない」という話を聞きました。

ではなぜ、難民キャンプ内で家族計画が順調にいかないかは、はっきりとは説明してくれませんでした。キャンプ内では人が増えすぎ、周りに暮らす現地のバングラデシュ人と軋轢を起こしているそうです。

Q. 難民キャンプ周りの現地の村人もロヒンギャの人たちの存在をあまり歓迎していないのですね。
A.
そうだともいえます。2009年~2010年にロヒンギャの難民キャンプを訪問した際、非公式キャンプ内には自由に立ち入ることができました。それが、2012年の8月に同じキャンプを訪問しようとしたら、キャンプ周辺の村人の監視が厳しく、外国人がキャンプに立ち入るのを阻止しようとする動きもありました。実際、ロヒンギャを排斥する団体も設立されていました。

現地の支援者によると「外国人はトラブルの元になるロヒンギャばかりを助けて、生活が苦しい我々(バングラデシュの)村人には援助をしてくれない」という気持ちがあるそうです。

Q. やはり、現地のことはあまり知られていないですね。
A.
もう一つ、知られていないことがあります。それは、ミャンマー側からバングラデシュ側に逃れてきているのは、ロヒンギャたちだけでなく、数は数百人と少ないのですが、ラカイン人たちもいるのです。

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