ヤンゴンにあるカフェの外観。「ラングーン・ティー・ハウス」の店名は「RTH」(上部分赤茶色の布看板)とイニシャルで表記されていた。「Rangoon」の文字は「政治的」として使えなかったとオーナーは言う。(撮影:宇田有三)

Q. ミャンマーでは、名称の使用が政治的なことがあるのですか?
A.そうです。2015年末、ある印刷業者が「ロヒンギャ(Rohyingya)」という名前が入ったカレンダーを作ろうとしたことがあり、政府から取り締まられました。そこで、ロヒンギャに対する差別だ、という声が上がりました。でも、ミャンマーのことをある程度理解していたなら、そこは「表現の自由がない」という意味で声を上げるほうが適切でした。

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Q. 軍事政権の時代から、「ロヒンギャ」という言葉は使用が許されなかったというのだから、「ロヒンギャ」に対する差別ではないのですか?
A. もちろん、そういう面もあります。しかし、ミャンマー政府は、同じように公的な場では「ビルマ(Burma)」や「ラングーン(Rangoon):ヤンゴンの前の名前)」の使用を禁止してきました。それは、ミャンマー政府が「ミャンマーという言葉は全ての民族を含んだ国名である」と強引に人びとの意識を国家統一に向けて推し進めていたからなのです。

Q.「ミャンマー」という言い方も政治的なんですね。
A. 「ミャンマー」という言い方は、前の軍政が英語の読み方をビルマからミャンマーに変えただけなんですよ。(※詳しくは『観光コースでないミャンマー〈ビルマ〉』高文研)。それに、軍政やその後の政権も、過去にさかのぼって歴史的な名前まで改変している例もあります。

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