バラックが建ち並んだロヒンギャ・ムスリムの難民キャンプ。(ラカイン州にて撮影:宇田有三)

バラックが建ち並んだロヒンギャ・ムスリムの難民キャンプ。(ラカイン州にて撮影:宇田有三)

<特別連載>ミャンマーのロヒンギャ問題(1)へ

Q. ミャンマー国内では支援者はいないのでしょうか?
A. 実際にロヒンギャを助ける人びともいます。例えば主にラカイン人が組織している 「Narinjara」 というミャンマー系メディアは、ラカイン州の出来事をできるだけ正確に伝えようとしています。そのため、その組織は、ビルマ人やラカイン人からあまりよく思われていません。

「困っている人が目の前にいれば、民族も宗教も関係ないでしょう。それに対応するのが人としての努めだ」。ロヒンギャ・ムスリムの支援に当たる、現地のラカイン人たちはそう言います。

また、ミャンマー国内では「国民民主連盟(NLD)」と肩を並べる草の根の支援組織「88年世代平和オープンソサエティ(旧88学生世代)」の最高幹部の一人は、「ロヒンギャたちが市民権を得るのは全く問題ない。問題は、彼らが『民族』としてのアイデンティティを主張していることだ」と言います。その幹部は続けて「でも、今はロヒンギャという名前を出すことさえ憚られる雰囲気が社会に蔓延しているので、〈彼らに市民権を・・・〉という話を公表すること、そのことが難しい」と。

ミャンマー国内で長年取材活動を続けているミャンマー人の記者はこうも話してくれました。

「まず、我々ビルマ人(バマー)が軍政下で少数民族をどのように見てきたのか反省しなければならない。ビルマ人はどこかでラカイン人に対して恐れを抱いていることもだ。ロヒンギャのことにしても、ムスリムとはこれまで、隣人として一緒に暮らしてきた。しかし、何か問題が起これば、すぐにロヒンギャにその問題の原因を押し付けようとしてきました。だが、やはりロヒンギャの話を公に出すことが出来ないという雰囲気が、今の一番の問題だ」
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