ミッキーのランドセルを背負って歩く小学生。 2012年11月平安北道の新義州市にて撮影アジアプレス

 

北朝鮮で米国は「不倶戴天の敵」と表される。その敵国文化の象徴ともいえるディズニーのキャラクター・ミッキーマウスが北朝鮮国内のあちこちで見られるようになった。

北朝鮮の取材パートナーによって秘密撮影された映像を丁寧に見ると、カバンや衣服にデザインされたミッキーマウスの絵柄が市民の中に浸透しているのが分かる。特に2012年後半以降に撮影された映像に顕著だ。

2012年7月、金正恩氏は牡丹峰(モランボン)楽団の公演を観覧した。ミニスカート姿の女性バンドが映画「ロッキー」のテーマ曲を演じたり、ミッキーマウスの着ぐるみが登場。この映像を見た脱北者を驚かせた。
関連写真:ミッキー、キティにドラえもんまで拡散 止まらぬ「敵国」文化の浸透

「『米帝』文化を否定せず受容する破格のサインを金正恩が送ったように見え、社会が変わるかもしれないと期待した」と、平壌出身の脱北者の男性は言う。

しかし、この年末に北朝鮮は長距離ロケットを発射し、翌年には核実験も強行。朝米の接近はならず、敵国文化受容の流れは生じなかった。

だが、金正恩氏のお墨付きで披露された派手な超ミニスカートやミッキーマウスは、国民の脳裏に焼き付くことになった。金正恩氏は敵国文化を国内に持ち込み拡散する役割を担ったことになる。(石丸次郎)

金正恩氏の肝いりで新設されたモランボン楽団の公演。ミッキーと超ミニスカートの女性楽士も登場し国民を驚かせた。2012年7月に朝鮮中央テレビで放映された映像より。

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