また、神社本庁の政治組織「神道政治連盟」と「神道政治連盟国会議員懇談会」「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」など、多くの右翼団体と連携している。

安倍政権では国会議員懇談会に所属する大臣は安倍首相を含めて16人おり、官房長官、外相、財務相、防衛大臣などはすべて日本会議系の国会議員で占められている。安倍内閣が「日本会議内閣」と言われるゆえんである。

日本会議は、宗教団体による右翼組織「日本を守る会」と保守派の財界人と文化人で組織した「日本を守る国民会議」が1997年5月に統合して発足した。源流の一つ「日本を守る会」は74年4月に誕生。神社本庁のほか、伝統宗教と新宗教のトップが名前を連ねていた。

その中心的な存在だったのが「生長の家」創始者の谷口雅春氏(1893~1985)。軍部の戦争遂行に協力して公職追放となり、49年に復帰する。「日本国憲法は、GHQが日本を弱体化する為に日本に押し付けた無効の憲法であるので、即時に破棄して大日本帝国憲法に復元しなければならない」と、戦前回帰を主張(現在の「生長の家」は日本会議には否定的)。その教えを信奉する「生長の家原理主義者」たちが日本会議の中心的メンバーで、安倍首相のブレーンを務めている。

これまでに、「元号法制化」「女系女性天皇容認の皇室典範改正阻止」「国旗国歌法制定」「中学校教科書の『慰安婦』記述削除」「教育基本法『改正』」などに取り組み、現在は安倍政権下での改憲―戦前の大日本帝国憲法に戻すことを目指している。
(続く)

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