金正恩氏が4月15日までの完工を命じた高層アパート街「黎明通り」の建設が計画通りに進んでおらず、4月に入ってからも地方から住民が動員されていることが分かった。(カン・ジウォン)

(参考写真)「平壌10万世帯建設」工事には全国から多くの兵士、青年、学生が動員された。2011年8月平壌にて撮影ク・グァンホ。(アジアプレス)

 

北部地域に住む取材協力者の男性は、今週急ぎ工事現場に送られることになった。彼が4月3日に伝えてきたところによると、
「職場、機関で選抜された人たちが『突撃隊』に組織されて、今週も動員されている。当初、工事は4月15日までに終えるはずだったのに、不可能になり動員期間が4月末までだと説明された」という。

動員は無報酬で、実質的には強制労働だ。この取材協力者は、労働が辛く時間も取られるので絶対に行きたくない、賄賂を使ってでも抜けると言っていたが、行かざるを得なくなった。

「今回の動員は無条件。忌避するのは不可能なので、平壌に行ってから仮病を使って抜けるつもりだ」と述べた。
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別の地域に住む取材協力者によると、

「この間、ずっと交代制で『黎明通り』建設に動員されている。一方、人民班では建設費用の資金を出せと言われ続けている」と述べた。平壌に動員されることになった前出の協力者は、他の動員者との交代である可能性がある。

(参考写真)2011年8月の平壌で高層アパート建設時の写真。各階の窓枠が位置も大きさもまちまちで歪んでいるのがよくわかる。撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

金正恩氏は当初、「黎明通り」建設を2016年末までに完工するよう指示していたが、計画どおり進んでおらず、完工期限が4月15日に延期されていた。

この日は故金日成氏の生誕記念日で、北朝鮮にとっては最大の祝日。平壌では大規模な軍事パレードが行われと言われており、日本と欧米の多くのマスメディアが既に入国許可を受けている。「黎明通り」を金正恩氏執政5年の実績の目玉として、外国メディアに大々的に披露することを計画していると思われる。

だが、資材不足や突貫工事の影響か、労働新聞が公開した金正恩氏の現場視察写真では、早くも道路にひび割れが見られた。

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建設中の「黎明通り」を視察する金正恩氏。早くも道路がひび割れているのがわかる。2017年3月16日付労働新聞より。

 

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