路上で米軍の身体検査を受けるバグダッド市民(2003年4月 撮影 綿井健陽)

 

第二次世界大戦期、日本は、アジア太平洋地域2千万人にも及ぶ人々の犠牲をもたらした。戦後は71年以上にわたって、武力行使することによって一人も死傷させず、また、一人として戦死した人もいない。しかしながら、今、自衛隊による武力行使によって「殺し、殺される」可能性が強まっている。

戦後の日本は、国内に駐留する米軍に基地のみならず「思いやり予算」までも提供することによって、米軍による戦争の一端を担ってきた。米軍兵士は、朝鮮戦争やベトナム戦争、湾岸戦争、イラク・アフガニスタンでの戦争にも、在日米軍基地から派兵されていた。今や、自衛隊は通常戦力世界第4位の強力な武力を保持する。冷戦終結以降、「日米同盟」強化のために、自衛隊は米軍との合同訓練や武器の統一、指揮系統の統合などを進めている。

米国が主導したイラク戦争には、2003~2009年までのべ約1万人の自衛隊員が派遣された。当時、航空自衛隊がバクダットに空輸した総計約4万5000人のうち米軍・米軍属が約63%を占めていた事実は、米軍の軍事行動の一部を担う自衛隊の在り方を象徴していよう。

さらに、防衛省は、アフリカ東部のジブチに恒久的な基地を建設し、海外で武力行使できる軍隊への準備が進められている。2015年に国会で強行可決された集団的自衛権行使を認める安全保障法制は、この実態に法的根拠をもたらした。

自衛隊が一体化を進める米軍は、他国を圧倒する規模を有する軍隊であり、「対テロ戦争」では、最も「血を流して」きた軍隊である。今年誕生したトランプ政権は、これまで以上に軍事予算を大幅に拡大させ、オバマ政権時の政策を変更して、軍事力による「平和」を達成しようとしている。

大統領は、同盟国が「応分の負担」をしていないと批判し、同盟国に対してより重い負担を担うことを求める発言を繰り返している。今後、米軍が世界的に展開されれば、同盟国である日本にも当然「協力」を求めてくるであろう。

本稿では、実際に「殺し、殺される」存在である兵士の視点から海外で軍事行動を行うことについて考えたい(武力行使よって、現地の人々に与える被害についてこそ、軍隊を派遣する国家としては十分に考えるべきであるが、本稿では武力行使する側から論じる)。 

まずは、戦場で「殺し、殺される」存在である兵士の「被害者」としての側面に注目する。米軍が行ってきた「対テロ戦争」および、国際治安部隊に派遣されていたドイツ連邦軍の経験から、戦場での兵士の状況、兵士の家族が直面する困難について述べる(戦場の「被害者」としての兵士 1~5)

続けて、戦場で加害者にも被害者にもなり得る兵士による、命令拒否について考察する「殺す」存在でもある兵士の命令拒否/選択的兵役拒否1~4)(続く)

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