武装勢力の活動が活発だったイラク・ティクリートの米軍(2009年撮影・玉本英子)


PKO
活動であっても、襲撃を受け交戦する緊張を強いられる。人道目的であるがゆえに、兵士にとってはより辛い「戦場」ともなる。今回はアフガンにPKO派遣され「傷ついた」独軍兵士の例を報告する。

平和維持活動(PKO)は、「テロリスト」のせん滅を目的とする「対テロ戦争」ではなく、現地住民の保護という人道目的をもってなされる。

しかし、アフガニスタンの復興支援の一環として派遣された国際治安部隊(ISAF)のドイツ連邦軍兵士が経験したのは、まぎれもない「戦場」であった。2014年までの13年間に、アフガニスタンで連邦軍兵士55名が死亡し、200名が重傷を負った。

人道的な派遣の場合、兵士は、「敵」戦闘員の殺傷や「敵」陣地の破壊などの軍事行動は行わない。それでも、戦争によってもたらされた厳しい状況に直面する。そこでは、地雷や死体などがあるために行動範囲が強く制限されることや、同僚の死傷、厳しい生活・労働環境、家族や社会的な環境から切り離されたことによる精神的な影響などが、兵士を苦しめる(1)。

また、自分たちが守るはずの住民への残虐行為を防げないことについて無力感に苛まれる人もある。兵士自身の生命・安全が脅かされるわけではないにも関わらず、現地住民の困窮、破壊された土地、見通しのたたない政治的状況は、兵士にとって、派遣中および帰還後も大きな負担となった(2)。

たとえ武器を使って交戦することがなかったとしても、敵対する勢力の間に配置された場合など、兵士は強い緊張を強いられる。敵対勢力同士による残虐行為を目撃することも少なくない。地雷や銃撃にさらされることも、人質として捕らえられることも、狙撃手に狙われることもある。
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