■子どもを戦闘員に使う武装勢力
米軍兵士はアフガニスタンやイラクで、頻繁に子どもに遭遇する(2)。両国とも若い人が多く、総人口の約半数が18歳未満である。米軍への攻撃に加わる子どもたちもいる(3)。2002年1月アフガニスタンでの戦闘によって死亡した米軍軍曹は、14歳の少年によって殺されたと報道された(4)。

陸軍101空挺師団機関銃手としてカルバラにいた21歳のニック・ボッグスは、10歳にも満たない子どもに向けて発砲し殺害した。この子どもは、米軍との激しい戦闘によって路上に残された携行式ロケット砲(RPG)を回収しようとしたのだった(5)。

子どもがおとりや自爆攻撃に使われることもあり、笑顔で近づいてくる子どもであっても、米軍兵士にとっては脅威となる。このような状況にあって、米軍兵士は恐怖から過剰な攻撃を行なうことも頻繁に起こる。その結果、そこに居合わせただけの人々を殺害してしまう。イラクで歩兵部隊の兵士の77~87%が攻撃され、46~65%は敵戦闘員の殺害に、14~28%は非戦闘員の死に責任があると報告している(6)。(続く)

(1) 彼は、帰国後、精神的に苦しんだ経験から仲間の支援活動をしていたが、2013年2月2日、その一人であったエディー・レイ・ルース元海兵隊員に射殺された。
(2) P.W. Singer, ‘Fighting Child Soldiers’, Military Review, May-June, 2003, p. 26.
(3) バクダッドにある米軍戦闘支援病院へ運び込まれた子どもたちのうち、8歳以下の子どもで敵戦闘員と判断されたケースはなかったが、9~17歳では66名中10名(15%)が敵戦闘員とみなされた。Renee I. Matos, John B. Holcomb, Charles Callahan, Philip C. Spinella, “Increased Mortality Rates of Young Children With Traumatic Injuries at a US Army Combat Support Hospital in Baghdad, Iraq, 2004”, Pediatrics, Vol. 122, No. 5, November 2008, Downloaded from www.pediatrics.org by on December 27, 2009. p.e961-962.
(4) Child Soldiers: Implications for U.S. Forces, Seminar Report, November 2002, Center for Emerging Threats and Opportunities Marine Corps Warfighting Laboratory, p.7.
(5) Matthew Cox, War even uglier when a child is the enemy, A boy darts for a weapon, and a young soldier must make a wrenching decision, USA Today, April 8, 2003,
(6) Castro C. W. Hoge et al., “Combat duty in Iraq and Afghanistan, mental health problems, and barriers to care,” New England Journal of Medicine, No. 351 (2004), pp. 13-22.

<「被害者」としての米軍兵士たち>記事一覧

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