検定に合格した8社の6年生用の道徳教科書。ソフトなイメージの表紙が並ぶ

 

「道徳」が来年度から小学校、再来年度から中学校で正式な教科に格上げされる。3月に小学校の検定結果が公表された際は、申請段階の「パン屋」が「和菓子店」に、「アスレチック公園」が「和楽器店」に変わった事例などが報じられ、物議をかもした。道徳が教科になるというのはどういうことなのか。この夏、全国各地で採択作業が本格化する。(新聞うずみ火/栗原佳子)

◆「伝統文化」「国を愛する態度」強調

検定に合格した教科書は「教科書展示会」で一般公開される。今年も6月から7月にかけて、全国1200カ所以上の図書館や役所などで開催された。

大阪府内のある会場では、本棚の最上段にカラフルな背表紙が並んでいた。小学校の道徳教科書に参入したのは東京書籍、日本文京出版、教育出版、光村図書、学校図書、光文書院、廣済堂あかつき、学研教育みらいの8社。表紙には、ほのぼのしたタッチのイラストなどがあしらわれ、ソフトな印象だ。

「アスレチック公園」が「和楽器店」に変わったページ

「パン屋」に物言いがついたのは東京書籍1年の教科書。少年と祖父がいつもと違うルートで散歩するという「にちようびのさんぽみち」の一コマで、街角で見かけた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変わった。「アスレチック公園」が「和楽器屋」に修正されたのは学研教育みらい1年の教材「大すき、私たちの町」。こちらも地元を再発見するという筋立てだ。

2社ともに「学習指導要領に示す内容に照らし扱いが不適切」という検定意見がついたからだ。「我が国の伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」という項目を満たしていないと判断されたのだ。(続く)

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