9月28日、アスベスト対策条例の制定をはじめとする規制強化の要請に「全国の中でも先頭を切っていきたい」と前向きに答える大阪府堺市の田村恒一副市長(井部正之撮影)

2016年6月にアスベスト飛散事故を起こした大阪府堺市。堺市は事業者を監視・指導する立場にある政令市のため、大阪府警が捜査し「示しがつかない」と書類送検したほどだ。市内では麻袋再生にともなうアスベスト被害も発生。アスベスト対策に課題が多い状況のため、被害者団体が対策強化を求めている。(井部正之)

被害者団体らが条例制定など要請

大阪府堺市の田村恒一副市長は9月28日、被害者団体の要請に対し、アスベスト対策条例の制定について検討を続けて「全国の中でも先頭を切っていきたい」と表明した。

堺市では2016年6月、市が発注した北部整備事務所の改修工事で高濃度にアスベストを含有する煙突を法で定められた対策なしに解体し、周辺にアスベストを飛散させる違法工事が発覚。大阪府警に書類送検された。その後、上記の違法工事の際、外壁の仕上塗材にもアスベストが含まれており、それについても適正な対策なしに違法除去していたことが判明している。また堺市内には、かつて麻袋の再生業が多く立地。アスベストが入っていた麻袋がそこで再生されたため、元労働者らに中皮腫などの健康被害も生じている。

アスベスト対策で課題が多い状況のため、被害者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(小林雅行会長)らは9月24日の堺市長選に先立ち、市長候補に対しどのようにアスベスト対策に取り組むかを公開質問した。今回再選された竹山修身市長からは「アスベスト飛散防止に向けた効果的な制度に関する検討を進め、市独自制度の実施について、条例の制定も含め精査していきます」との回答を得ていた。

「家族の会」らによる今回の要請は市長選時における方針の具体化に向け、改めて実施するもので、

(1)アスベスト対策条例の早急な検討および制定
(2)アスベスト対策条例に基づく対策の充実
(3)アスベスト検診の充実

──の3項目を求めた。

その際、田村副市長と約30分にわたって懇談。市長選の際、候補者に対する公開質問に取り組んだ、堺市民で「家族の会」堺対策チームの古川和子さんは「竹山市長がいう『堺のことは堺で決める』との考えはすばらしい。ぜひアスベスト対策についても独自の条例を制定し先進都市になっていただきたい」と訴えた。「家族の会」会員で堺市在住の熊取絹代さんは市に対し、「定期的な意見交換」を要望した。
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