シリアやイラクの人たちがなぜ欧州へ逃れるのか...。それは「安全」のためです。「自由」とか「お金」のためではありません。そして、子どもたちのため です。何の罪もない、かれらの命が失われるようなことがあってはいけないのです。子どもたちには、恐怖に怯えることなく勉強に励み、将来に希望を持って生 きてほしい...それを願うのは、どこの国の親でも同じではないでしょうか。

今後、どうしていくのか...もちろん不安だらけです。現在、家族が生きていくだけの最低限のお金を国(ドイツ政府)からいただいていますが、ずっ とこのままというわけには行きません。私は教育を受け、アラブ紙記者としてそれなりの仕事をしてきました。ジャーナリストとしての仕事を続けたいのです。 でもドイツ語が分らなければ、そのキャリアが生かせないかもしれない。

一部にドイツの難民制度を悪用して入り込む犯罪者もいますし、トラブルを起している難民がいるのも事実で、助けてくれた国の人びとや社会に迷惑がか かっていることには心が痛みます。それをもって子どもも含めた難民すべてが「やっかいもの」として扱われるのは、さらに心苦しい思いです。

正直、自分が難民になって、命がけでゴムボートに乗って欧州に逃げるなんて、数年前までは想像したこともありませんでした。私たちの人生は変わってしまいましたが、家族のために前を向いて進んでいくしかないと自分に言い聞かせています。
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