巡察前の点検を受ける国境警備兵。北朝鮮に戻る第一関門は兵士の買収だった。2004年8月、朝中国境の川・豆満江上流で中国側から石丸次郎撮影。(アジアプレス)

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「ビデオカメラを提供してくれれば、自分が北朝鮮に戻って撮影してくる」

このチョルの提案を、私はよくよく考えた末に断ることにした。もちろん、撮影に成功すれば、国際的な大スクープ間違いなしであるが、失敗して逮捕されれば、チョルが命を落とすのもまた間違いないだろう。再び北朝鮮に潜入してビデオを撮影するのは、あまりに危険が大きすぎる。道義的にも金銭的にも、応えてあげられるものを私は持ち合わせていなかったのだ。

しばらく居を同じくしたあと、ドンミョンとチョルの今後の生活をどうするのかが問題になった。ジャーナリストとして朝中国境地域に行き来する私が、難民である彼らと同居し続けることには限界がある。彼らの生活費は月に二万円ほどかかるし、病気を患えば誰かが病院に連れて行かなければならない。私が日本に戻っている間に何か問題が起こっても、対処のしょうがないのだ。

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