トルコ軍・自由シリア軍諸派によるアフリン攻撃から1か月。トルコはクルド・人民防衛隊(YPG)を「クルド労働者党(PKK)傘下のテロ組織」としアフリン一帯に境界線を作って封じ込めを狙う。国境沿いの村々の多くは制圧された(アジアプレス作成)

◆シリアの惨禍いつまで…

アサド大統領を支持するクルド人はほとんどいないと思います。ですから今の状況をアフリン住民は複雑な思いで見ています。でも、他に誰も頼ることができなかった。攻撃しているのはただの武装グループではなく、たくさんの兵器を持つトルコという国なのです。

私たちにとって受け入れがたいアサド大統領ですが、自由シリア軍や、ヌスラ戦線(現・シャム解放機構)や過激なイスラム主義グループに故郷を占領されるよりは、はるかにマシと思います。ここの女性の多くはそう考えているのではないでしょうか。

今のところ市内に食料などは売られていますが、物価が高騰しているので買えません。私たちを助けてくれる支援団体などありません。空に戦闘機が飛び、爆弾が落ちてきます。その光景にただ怯えて震えるだけです。

圧倒的な攻撃に私たちには何もすることができません。神様が私たちや子どもたちを助けてくれることを祈り続けています。

東ゴータで多くの子どもたちが命を落としていることを聞いています。私たちと同じで、普通の市民が殺されています。自由シリア軍と政府でなんとか話し合いをして、例えば住民だけでも避難させるとか、何とかならないのでしょうか…。なぜこんなことがシリア各地で続くのでしょうか。どうして誰も助けてくれないのでしょうか。

アフリンに入ったアサド政権派民兵の様子を伝えるクルド系ロナヒTV。 軍用車両にシリア国旗を掲げている。(2月23日・ロナヒTV映像より)

市内の建物の壁にはクルド語で「蜂起」の文字。(2月20日地元住民スワール氏撮影)

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