<匿されし北朝鮮の最高綱領>記事一覧

 

新「十大原則」第五条には新たに「遺訓貫徹」と「核武力」が登場した。

  • 「遺訓貫徹」

「偉大な金日成同志と金正日同志の遺訓、党の路線と方針貫徹において無条件性の原則を徹底して守らなければならない」

昔も現在も北朝鮮は金日成と金正日の国である。二人の首領の意思を引き継ぐこと、「遺訓貫徹」こそが、金正恩を新領導者とする体制に与えられた最重要の使命だと位置付けられている。金日成-金正日の遺訓が、にわか仕立ての新領導者の権威の源泉となり、後継の正当性の根拠を与えるものだからである。

一方で金正恩は、金正日亡き後の北朝鮮国家・社会を、どのようなものにしていくつもりなのか。思想、経済、文化、軍事、外交、統一・対南関係などあらゆる分野で、国民に提示でたものはほとんどなかった。自ら方向性を示せていない以上、現在の制度を維持し統制を保つためには、引き続き金日成―金正日が示した教示や方針の貫徹を求める最重要とならざるを得ないのだ。

  • 「核武力」

新「十大原則」の序文に「核武力を中枢に据えた無敵の軍事力と、堅固な自立経済を持った社会主義強国として、威力を轟かせることとなった」という一文が登場した。核兵器開発を金正日時代の特筆すべき実績として誇り正当化している。北朝鮮社会における最上位の規範である新「十大原則」の中に「核武力」が明記されたことで、金正恩政権が自ら核開発を放棄する可能性は極めて低くなったと考えるべきだろう。

憲法や労働規約は、国際関係や経済環境、政策のの変化に応じて、いくらでも変えることができるし、改定の提案を党内や側近で検討することが可能だが、新「十大原則」は、金正恩以外に誰も触れることができない最上位の「掟」である。

さて、新「十大原則」が北朝鮮内で初めて公表されたのは、2013年6月19日に金正恩が党、国家、軍隊、勤労団体、出版報道部門の責任幹部たちの前で行った演説においてであった。

「革命発展の要求に合わせ党の唯一的領導体系をより徹底して打ち立てることについて」と題された演説の全文を掲載する。これは、朝鮮労働党出版社から冊子として出版されたが、対外秘とされて、北朝鮮の国営メディアには一切公表されていない。アジアプレスでは、韓国聯合通信から提供を受けた。(石丸次郎)

続きを見る...

<匿されし北朝鮮の最高綱領>記事一覧

この記事は会員記事です。
すべての写真、記事、動画をご覧になるには、有料会員登録が必要です。
会員の方は、ログインしてください。

越えてくる者、迎えいれる者 ― 脱北作家・韓国作家共同小説集

越えてくる者、迎えいれる者 ― 脱北作家・韓国作家共同小説集

韓国入りした北朝鮮人作家6人と、韓国の作家7人による共同小説集。
脱北作家たちの作品からは、窺い知ることが難しい北朝鮮民衆の暮らしぶりを知ることが出来ます。

訳者: 和田とも美

出版社: アジアプレス 出版部
価格: 1,490円(税込) 送料無料!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう