外貨流通は死刑含め厳罰に処すと書かれた「布告」。2009年12月に撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

◆統制強化は韓国との対話とセット

「布告」では違反者は速やかに自首することを求めており、住民には別途「20日間以内に自首すれば許すが、それ以降に検挙した場合は容赦しない」と通告があったという。住民組織の人民班の会議でも「今回は容赦しない」と強い警告があった。「布告」が出されたのは先月19日であるから、今月27日に予定される南北首脳会談を前にして、取締りはピークを迎えることになる。

今回の「布告」の特徴は、韓国との対話の進展に合わせて発布されたことだ。最近、国営メディアでは連日のように、腐ったブルジョア生活様式、資本主義への警戒を訴えている。韓国との対話ムードが、住民の思想動揺や韓国に対する憧れが拡散することを強く意識しているのは間違いない。

特別に「布告」まで出して統制に乗り出したのは、金正恩政権による「許さぬ」という強い意志の現れであるが、裏を返せば、看過できない状況が発生しているということでもある。(カン・ジウォン / 石丸次郎)

※4月10日に記事の一部を修正しました。

「布告」が公開されたのは3月18日ではなく19日でした。また内容も、新たに北朝鮮内部の取材協力者の追加情報をもとに訂正捕捉しました。 「布告」の題目は「反社会主義、非社会主義の行為をする者を厳罰に処すことについて」でした。

 

また、違反行為の自首については「布告」では期間は明示されておらず、「速やかに取締り機関に自首せよ」とだけ書かれてあり、別途に職場や地域組織で「20日間以内に自首すれば許すが、それ以降に検挙された場合は容赦しない」と口頭で説明があった、とのことでした。訂正いたします。

「ディアジェパムをはじめとする鎮静剤や睡眠剤を闇取引する者を厳罰に処することについて」とある。薬物乱用が問題になっていたと思われる。2010年8月平安北道にて撮影キム・ドンチョル(アジアプレス)

「交通秩序と海洋出入秩序に違反する者たちを厳格に処罰することについて」という「布告」。平壌市内で金正恩氏の乗った車が事故に遭いかけたという噂が流れた直後に張り出された。2015年2月4日に撮影チェ・オク(アジアプレス)

 

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