2017年3月19日に堺市北部地域整備事務所で煙突内のアスベストを除去する準備のようす(情報公開で入手)

 

◆「取り残し」隠した堺市

これまで市建築課の担当係長らは筆者の取材に対し、2017年3月19日の除去工事後、同22日と同23日に複数の異なる建築課職員が煙突内にアスベストの取り残しがないことを目視検査した。その際、元請け業者も立ち会い同様に確認したと説明してきた。ただし、市建築課の永野達彦課長(当時)は完了検査は2017年3月24日および同28日と話しており、検査日が異なる。

検査日の認識をめぐる混乱はあるにせよ、市側はそれらの完了検査でアスベストの取り残しが「ない」ことを確認したと説明してきた。

だが、実際には堺市はアスベストとみられる取り残しの存在を知っていた。そのうえ、「清掃」と称し除去させていた。

市側は4月27日の「家族の会」との話し合いで、その後の調査結果として、改めて2017年3月22日に分析機関から指摘があり、市の指示により同30日、ワイヤブラシと真空掃除機で「清掃」したと認めた。

2017年3月22日と同23日(ないし同24日および同28日)の完了検査で工事が適正だったと確認したとの説明がウソだったということだ。

その場で当時の担当係長に取材時の説明がウソだったのかと追及したが、回答はなかった。

5月25日配信の拙稿(<堺市アスベスト問題>煙突内の除去残し「記録に残す」と市職員が説明か)で、2017年4月11日に煙突内の取り残しを指摘した分析機関の社長が翌12日の「清掃」作業後となる同15日に再び現場をみて、改めて取り残しがいまだ存在することを指摘した際、市の担当者が「(煙突内にアスベストが)残っているということで記録を残してふたをします。次に解体するときにしっかり除去しますから」と説明したという証言を紹介した。

市側は4月27日にその後の調査結果として、「担当者に確認したが、当時そんな話は受けてないといってまして。上司にも報告がなかった」と否定し、そうした会話はなかったと主張している。

それどころか、市は2017年4月15日に分析機関の社長による取り残しの指摘自体がなかったと主張してきた。

しかし、この間都合の悪いことを隠したり、勝手な解釈を続けてきたのは堺市である。

仮に市の主張どおりだとしても、2017年5月中旬に煙突内の取り残しについての指摘を確認したにもかかわらず、市は分析機関に事実関係の確認もしなかった。それどころか、分析機関の報告書から煙突内にアスベストの取り残しがあるとの指摘を含む都合の悪いページを勝手に削除させて改ざん。あげく、その理由を「業務の範囲外」と分析機関の責任かのように説明した。

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