◆文政権の対北融和策に怒る人も

10年近く前に平壌から脱北し、今は関西地方に住む康忠識(カン・チュンシク 仮名40代男性)さんの意見は真逆だ。

「住民を犠牲にした核開発で生き延びようとした金正恩政権は、国際社会の制裁で窮地に陥っている。それなのに、なぜあの一族独裁体制の延命に手を貸すのか。北の人民の苦労をまったくわかっていない」
と、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北朝鮮融和政策に怒りを露わにする。

トランプ氏については、発言が目まぐるしく変わるので戸惑い続きだ。「金正恩と安易な妥協をせず、核を放棄するまで経済制裁を解くべきではない」
というのが康さんの意見だ。

北朝鮮の北部に住む取材協力者の女性にも、電話で考えを聞いた。
「そもそも金正恩元帥がトランプ大統領と会談するなんて、ほとんどの国民は知らされていなかった。非核化問題と朝鮮戦争の終戦を話し合う? それで支援が入って来るとか、開放に向かうなら歓迎だけど、あの政権が核を捨てるなんてありえないと思う。とにかく暮らしが早く良くなってほしい。中国のように改革開放してほしい。庶民は、皆こう考えていると思う」

女性はさばさばと答えた。朝米会談に対する考えは三様だが、祖国が変化に向かってほしいという思いだけは共通であった。

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