堺市が一般に初めて公表した保育園園庭におけるアスベスト濃度の測定結果。欄外の「基準値」10本/リットルとの記載は解体工事などには適用できない条文を誤って引用

 

◆市は作業現場からの飛散否定

リスク評価にも影響しかねない測定結果が1年半近くも委員に知らされなかった。それどころか、そのアスベスト飛散について、リスク評価結果を報告する会合でその評価ができていないことを公表せざるを得なくなったのだから、懇話会の面目丸つぶれである。委員から不満の声が相次いだのも当然といえよう。

今回初めて示された市の資料では同330日には機械室棟の屋上に高さ50センチメートルほど残った煙突の内側に電動ドリルで穴を開け、そこに固定金具を取り付ける作業をしていた。そのほか、機械室棟の周囲に水を撒いた上で清掃したとされる。

市は「(煙突への穴あけ作業は)負圧にした養生内でしており、当然集じん排気装置も設置した中でしておりまして、(排気口出口で)デジタル粉じん計を用いてリアルタイムに漏えいしていないと確認しながら作業を行っていた」と作業時のアスベスト漏えいを否定。

そのうえで「発生源の原因究明をしたが、建物周囲の作業状況から発生原因を特定することはできませんでした」と作業現場からの発生ではないこと以外わからないとの見解を示した。

しかし、委員からは異論が相次いだ。

東座長は「明らかに(煙突内の断熱材に使われたのと同じ)アモサイトが検出されているので、ほかにアモサイト使われているところがないというのであれば、煙突から出たものと考えざるを得ない」と主張した。大阪アスベスト対策センター幹事の伊藤泰司委員も「(煙突内側を)掘削したことによって発生したのではないか」との考えを示した。

市は上記の通り、作業が原因ではないと反論を続けた。だが、東座長はほかの原因が特定できないのであれば当日の作業が原因と考えざるを得ないと専門家の意見もふまえて指摘した。

堺市の対応ぶりに対しての意見も続出した。

伊藤委員は「大丈夫だという説明に力を入れるんじゃなくきちんと原因究明すべき。保育園や地元自治会には説明しているということですが、我々にも知らせてほしい」と要望した。傍聴者からも「市は危機管理意識が低い」「きちんと情報を公開してほしい」との意見が次々出された。

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