◆委員も「塊で残っていた」と証言

同じく当日現場に入った東座長は「煙突内側は少し残っているところもみられた。飛散防止剤が吹き付けてあり、そこは比較的あり得るような工事じゃないかという話をされていた。横引き煙道のほうは明らかに塊で残っていた。そこは非常に粗い。除去されたところと、除去できてなかった部分が残っていたと考えられる」と補足した。

両者とも市の「極小」という説明と実態に異なる部分があると指摘した。

懇話会での議論後に続けておこなわれた傍聴者との質疑で、被害者団体、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会前会長で堺市在住の古川和子さんは「写真を見る限り(煙突内のアスベストの)残存は極小ではない。市は極小という判断なのか」と聞いた。

澤中部長は「残って負ったことについては事実。極小であろうが、なんであろうが残って負ったことについては重く受け止めております」とあいまいに答えた。

古川さんは「(今回の問題を)本当に真摯に受け止められているのか。行政対応の検証はするのか」と問うた。

澤中部長は「市としての検証なんですが、まだ(調査をした協会による)最終の報告書が出てきていない」と再びはぐらかした。

報告次第で行政の検証もあり得るのかと古川さんはさらに追及。

建築都市局の窪園伸一局長は「内部でこういう事故を起こしたことは非常に重く受け止めております。ダクトの横引きに入っていたものについても真摯に受け止めておりまして、市としてもちゃんと対応しないといけないと思っております。アスベスト対策推進本部も設置し、きちんと取り組んでおります」と引き取ったが、結局明確には答えなかった。

過去に同じようなアスベストが飛散する事故によって第三者委員会を設置した場合、ほとんどがきちんと行政対応についても検証している。まして同じ現場で2度にわたって不適正工事を起こしたあげく、報告書を改ざんし、事態の隠ぺいまで図っていた(市は隠ぺいを否定)にもかかわらず、行政対応の検証すらないのは異常というほかない。

この間の行政対応にどんな問題点があったのかをきちんと第三者によって検証することなしにいったいどのように「ちゃんと対応」できるというのか。

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