西エルサレムの繁華街でダンスをする若者のグループがいた
(西エルサレム 2018年4月・古居みずえ)

 

また祖父の話は、インバ―ルさんが直接聞いたのではないが、彼女が6年生のときに家族のルーツを調べた時に知ったという。

「母方の祖父には、ひどい時がありました。私が子どもながらにも祖父の体験したことを知って、衝撃を受けたことがあります。祖父は労働キャンプに送られました。祖父がそこにいたときに、友人の一人が撃たれて亡くなったのです。悲しみに暮れる祖父はその亡くなった友人を背負って、家族のところに運びました。家族がきちんと埋葬できるように」

インバ―ルさんに祖父はそのことを話すことはなかった。

それでも家族もインバ―ルさんもルーマニアが好きだという。

「祖父母はルーマニアが好きでした。母方の祖父母は毎年ルーマニアを訪れていました。ルーマニアを愛していたのです。私の両親もルーマニア語を話します。私もルーマニア語を学んでみたいと思っています。私が受け継ぐ伝統の一部だと思っていますから」

イスラエルでもパレスチナでもスマホを使う人たちが激増している。
(西エルサレム 2018年5月・古居みずえ)

 

◆どうしたら戦争を終わらせることができるのか

今のイスラエルに生きて、平和についてどう思うかきいてみた。

「結局のところ、みんな同じことを目指していると思います。誰もが幸せに暮らす可能性を秘めています。でも植民地主義がすべてをぶち壊したのだと思います。今や誰もその責任を負おうとしないのです。例えばユダヤ人をホロコーストの記憶から引き離すことはできません。でもこの土地にいた人たちを邪魔だと言って追い出すこともできません。いろいろと意見の相違はあるけれど、前に進むためにも、今は和平を結ぶときだと。もちろんみんな本当に幸せになりたいのです。私だって幸せになりたいですよ。この紛争を続けるよりもそのほうがいいに決まっています」

どうしたら終わらせることができるのだろうか言う私の質問にインバ―ルさんは、

「紛争を終わらせるのにどちらかが死ぬようなことがあってはならないと思います。だから平和的な解決を目指す必要があります。もちろん政府間の合意でみんなが幸せになれるのが一番です。結局のところ、私たちは皆、同じ惑星の上にいるのですから。お互いが違うことを認め合わないといけません」と答えた。

西エルサレムの街並み
(西エルサレム 2018年4月・古居みずえ)

 

イスラエルとパレスチナ■

1947年に国連は、パレスチナの土地に、アラブとユダヤの2つの国家をつくるという分割決議案を採択する。1948年、ユダヤ側はイスラエルを建国。それをうけ第一次中東戦争が起こり、70万人以上のパレスチナ難民が生まれた。2018年はイスラエルにとっては建国70年であり、同時にパレスチナでは故郷を失い、難民という苦難が始まって70年となる。

2017年126日、トランプ米大統領はエルサレムをイスラエルの首都として正式に認め、イスラエルの建国70年に合わせて、2018514日にアメリカ大使館をエルサレムに移転し、開設式典が行われた。一方、同じ日にイスラエルとガザ地区の境界で抗議するパレスチナ人たちに、イスラエル軍は実弾や催涙ガス弾を発射し、1日でおよそ60人のパレスチナ人が死亡した。

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