◆小委員会でも国は公開拒否

この論理もおかしい。

というのも、前出・石綿飛散防止専門委員会では自治体や企業、業界団体が公開の場でヒアリングに応じて、現場の実態を赤裸々に語っているからだ。企業名や現場名などを明かさないなどの配慮をすれば問題ないことは同委員会で実証済みである。あるいは2015年度以降の環境省にはその程度の配慮をさせる能力すらないのだろうか。

この“秘密”検討会は2015~2017年度の3か年にわたって継続し、各年度ごとに報告書をまとめている。通常、同省の調査研究業務の委託では、報告書を同省の図書館に収蔵する。しかし、この件についてはそれすらしていない。税金でまかなわれた同省の検討会を含む調査研究がこっそり秘密裏に開催されたばかりか、国民の財産である報告書すら隠されたままなのである。

今回新たに開催された小委員会で外山委員から報告書の開示を要望されたわけだが、同省大気環境課は「公開を前提とせず、企業や団体からヒアリング、情報をいただいて検討したことを考慮した。公開により混乱を生むおそれがある」と上記と同様の理由で公開を拒否した。

2017年度の“秘密”検討会では2人の委員が「非公開にする理由はない」と検討会の公開を求めており、やはり同省の論理は破綻しているといわざるを得ない。そこまでして何を隠したいのか。

委員すら過去の検討内容を参照できないのであれば、本当に何のために実施したのかわからない。税金の無駄遣いと指弾されてしかるべきだろう。あるいは同省は報告書から都合の良い部分だけ抜き出して使う意図でもあるのだろうか。(終わり)

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