10月20日公開のドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」。プロのボクシングが抱える問題をテーマに、ひとりのボクサーの奮闘を描いた作品だ。(提供:ノマド・アイ)

 

日本ボクシング連盟の助成金流用や山根会長による組織の私物化など、アマチュアボクシングをとり巻く醜聞があいついだ今年、ドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」が公開される。こちらはプロのボクシングが抱える問題をテーマに、ひとりのボクサーの奮闘を描いた作品だ。プロボクシングの「業界」を仕切るコミッション制度に異議を唱えるプロボクサーに、3年にわたってカメラを向け続けた武田倫和監督(39)に聞いた。(玉本英子・アジアプレス)

◆日本のプロボクシング制度に異議を唱え闘うボクサーに密着

 

日本のプロボクシングは、ボクシングコミッション(JBC)が業界を仕切っているのが現状。ボクサーがフリーでプロ活動をするにはいくつもの困難が立ちはだかる。その状況をなんとか変えたいと、ひとり闘うプロボクサー山口賢一の姿に惹かれ、撮影を始めた。

ドキュメンタリー映画「破天荒ボクサー」の武田倫和監督。組織に属さないフリーのプロボクサー山口賢一さんの闘いを3年にわたり追い続けた(大阪市内で撮影:玉本英子)

 

2002年にプロデビューした山口賢一。大阪帝拳で11連勝を上げるなど、好高成績を残してきたものの、世界タイトル戦の機会に恵まれず、JBCを脱退。その後は大阪市内で非加盟のジムを運営しながら、同じ境遇のボクサーの育成と、世界挑戦を目指してきた。選手の立場が弱く、ファイトマネーも安い日本のプロボクシング界の現状を変えたいというのが山口の思いだ。

見どころは、2015年、元新人王の日本人とのスーパーバンタム級世界タイトルマッチ開催にこぎつける山口の行動力だ。片言の英語を使っての試合交渉、駆けずり回ってスポンサーを探し、ファイトマネーを捻出する。ところが試合開催が近づくと、かつて所属した大阪帝拳と、西日本ボクシング協会の井岡会長が山口を呼び出す。JBC未承認の団体の試合開催に対し不満を示す協会。
大きな壁を前に、世界タイトルマッチに挑むボクサー、山口の闘いはどうなるのか……。

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