この協力者は、中国との貿易が盛んな国境都市在住だ。ハノイでの朝米会談が決まった後、制裁緩和を見越して、全国の貿易商社の担当者が続々集結しているというのだ。地方政府の貿易局に登録するためだという。

――制裁がいつまで続くかは分かりませんね。米国側は、寧辺(ニョンビョン)以外の隠匿された核施設の非核化措置を求めたのに、金正恩氏がそれを受け入れになかったようです。

「制裁が緩まないんだったら大変だ。国家機関が密輸して入ってくる自動車部品などの価格が上がり続けていて、車両を利用した商売は、運賃がどんどん高くなっています」

――非核化が進まないから、一般住民が経済制裁で苦しむ現実がありますね。

「(金正恩政府が) もともと我われ民衆の心配なんかしていますか? もし制裁が解けても、昔のように、私たちに配給くれると期待している人なんて、ここにはいませんよ。皆、怖いから口には出せないだけ。核放棄はしないと思う」

――なぜ核放棄に向かわないと思いますか?

「会議とか講演会では、核武力があるから帝国主義者どもは我われに手出しできない、核武力がなければ食われてしまって奴隷として生きることになる、ずっと、そんな説明を受けてきたわけです。でも、本気でそう思っている人なんていないでしょう。上の連中は、自分の地位が危うくならないか心配だから放棄しないのだと思います」 (カン・ジウォン)

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