◆市が法違反問われる可能性も

アスベスト作業などを規制する大気汚染防止法(大防法)や労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)は、建物などの改修・解体前にアスベストを除去するよう求めている。

説明会で作業の詳細な状況について、市や施工業者が触れなかったため不明だが、アスベストを含む仕上塗材を除去しないまま一部とはいえ壁を解体しており、元請け・施工業者は大防法や石綿則違反の可能性が高い。

それも複数条項で違反の疑いがあるほか、事業者だけでなく、市が法違反と判断される可能性すらあるのだ。

建物などの改修・解体などの工事においては、事前にアスベストの調査を実施する義務がある。

説明会で市財産活用課は「内壁(の仕上塗材)にも、新しく(アスベストが)出ております」と以前の調査でアスベストが見つかっていなかったことを明かしている。

しかし、これまでの説明会で住民に配布されたダイナ建設やアスク・サンシンエンジニアリングらによる調査結果をすべて確認したが、本館3階の該当箇所における内装仕上塗材を分析した結果はなかった。

住民説明会で配布されていない資料に当該箇所の分析結果があれば別だが、そうでない場合、元請け・施工業者は石綿則の事前調査義務(第3条第1項及び2項)違反を問われうる。

またアスベスト除去や曝露作業の場合、飛散・曝露を防止する規制(石綿則第13~15条)や作業時の基準(大防法第18条の18)があるが、市の説明からもアスベストがなかったとして作業をしたとみられ、それらの違反についても可能性が高い。作業計画の策定義務(石綿則第6条)もあり、これも同様に違反の疑いがある。

さらに仕上塗材は吹き付け施工された場合、吹き付けアスベストと同様の扱いとなり、大防法や石綿則で作業の届け出なども義務づけられている。ローラー塗りの場合、届け出義務はないが、いずれの施工か不明な場合、厚生労働省や環境省、大阪府は「基本的には届け出するようにいってます」としている。つまり、場合によっては届け出義務(石綿則第5条、大防法第18条の15)が存在するわけだが、これにも抵触するおそれがある。

その場合、石綿則では事業者に届け出義務が課されているが、大防法では発注者である市に届け出義務があるため、市の法違反が問われる可能性もあろう。

大阪府環境管理室事業所指導課によれば、外壁の仕上塗材の除去について今後提出すると聞いているが、仕上塗材の除去について届け出はまだ出ていないとのこと。相談も来ていないそうだ。

届け出がない以上、これもレベル1扱いであれば法違反の可能性が高い。

厚生労働省化学物質対策課および環境省大気環境課はあくまで一般論としてではあるが、これらの法違反の可能性を認めている。

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