◆差別的な市の排除方針

今井さんからそのことを聞き、同日市に事実確認したところ、説明会に参加できるのは「近隣住民のみ」と改めて知らされた。

この際いろいろ聞いたが、合理的な説明はなかった。

そもそも説明会に参加可能な近隣住民の範囲すら、「近隣在住ではなくても守口市民なら参加可能」「守口市民でも現場からあまりにも遠い場合は関係ない」などとあいまいだった。何度か聞き直すうちに守口市民であることが参加条件だと説明した。

市民以外の出席に何か不都合があるのか聞くと、市側は「まったくない」と否定。にもかかわらず、かたくなに説明会への出席を拒否した。

しかも市民以外は一切排除する方針を明言。前出・アスベストセンターや家族の会といったこの間住民の支援をしてきた人びとを説明会から締め出したのである。

解体予定の旧庁舎は大阪メトロ谷町線・守口駅に隣接している。同駅は約1万7000人が利用(2018年11月調査)しており、市外からの通勤・通学者も少なくないという。また駅のエレベーターが旧庁舎のすぐわきに設置されていることもあって、ベビーカーに乳幼児を乗せた女性が現場のすぐ横を通るすがたを見ることは少なくない。

ところが、市は市外からの通勤・通学者も除外。それどころか、何らかの理由で工事期間中に近隣を訪れてアスベストを吸ってしまったのではないかと心配している人であっても、「(対象を)市民に絞っている」ため、出席を認めないと明言した。

アスベストは低年齢の曝露ほど、中皮腫など健康被害のリスクが高まるといわれている。アスベストを含む成形板の撤去や違法工事があった時期に現場わきを通るなどした市外在住の母親が将来の我が子の健康を不安に思って説明会に出席したいといっても拒否するというのである。差別的な対応といわざるを得ない。

これまで2回開催された説明会では今回のような対応はなかった。

市は「当初から近隣の市民を対象に考えていたが、実際にはそうでない方も入られていた事実がある。そこを厳格にさせていただいた。もともとそういう方針だった」と釈明する。

同市の服部浩之市議はこう指摘する。

「幅広く知らせるべき説明会だから、市民以外はダメだという論理は成り立たない。自分はよくわからないから、詳しい知り合いを呼んできたということだってあって良い。とくに市外からの通勤・通学者の排除は異常ですね。(現場は)駅前だから相当いるはず」

詳しくは前掲記事をご参照いただきたいが、今回の工事では、きちんとした対策なしにアスベストが使用された壁を解体する違法性の高い作業があったことが発覚している。にもかかわらず、説明会の対象を市民だけに限定し、市外からの通勤・通学者や技術的助言をしてきたNGO関係者、メディアを排除した守口市の対応は差別的で、問題をよりこじれさせよう。

こうした対応をしているから「誠意がない」と責められるのである。

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