まさにその軍事空域である横田空域についても、民間機が自由に通れないため、羽田空港からの離陸後、急旋回・急上昇して横田空域を飛び越えるという、航空機の性能上きびしい飛行を強いられ、安全かつ効率的な運航の妨げになっていると指摘し、早期返還を訴えている。

横田空域では、横田基地や厚木基地を拠点にした米軍機が、基地周辺や群馬県渋川市周辺上空などで低空飛行訓練などを繰り返し、住民に多大な騒音被害と墜落事故の危険を長年にわたりもたらしてきた。

また、岩国空域は山口県東部にある米軍岩国基地を中心に、山口、愛媛、広島、島根の4県にまたがる地域の上空を円形状と扇形状に、基地から日本海側で最長約100キロ、瀬戸内海側で最長約90キロの範囲で、地表からの高度約4300~約7000メートルの階段状に立体的に覆っている。

そのため、岩国錦帯橋空港と松山空港での民間機の離着陸に、岩国基地の管制官の許可と指示が必要とされ、大分空港に着陸のため進入する民間機が困難な飛行を強いられる高度制限を受けるなど、民間機の運航に影響が出ている。

このように、日本の空なのに日本側の航空管制が及ばず、管理できない、つまり日本の空の主権が米軍によって侵害されているという、独立国としてあるまじき状態が長年にわたって続いているのだ。(続きの第11回を読む>>

[日本は主権国家といえるのか?]連載一覧>>

*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

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