横田空域のような米軍が航空管制をして管理する空域もない。

米軍基地の排他的管理権も認めず、受入れ国の軍や自治体などの当局者の立入り権も保障されている。

日本とは異なり、「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立、米軍の活動をコントロール」(「他国地位協定調査報告書(欧州編)」)しているのだ。

報告書は沖縄県のホームページに載っており、より広く知られてほしい。
それは地位協定の抜本的改定に向けた世論の広がりにもつながるだろう。

前述の全国知事会の提言を受けて、地方議会にも地位協定の改定などを求める意見書が出され、決議されている。

市民団体「安保破棄中央実行委員会」によると、2019年8月末の時点で、北海道・岩手・長野など7つの道県議会と札幌市・長野市など153の市町村議会で、◆駐留外国軍隊への国内法の原則適用は国際常識 /米軍という外国軍隊により主権が侵害され、そして憲法で保障された人権も侵害されている。こうした意見書が決議されている。

このような各地域での取り組みの広がりも重要だ。

ジャーナリズムが地位協定の問題点をさらに掘り下げ、地位協定の不平等構造を裏で支える日米合同委員会の密約など隠された事実も暴露しながら、抜本的改定の必要性を訴えてゆくことが望まれる。

地位協定の抜本的見直しとともに、米軍の特権を生み出す日米合同委員会の秘密の合意システムを廃止し、地位協定の解釈・運用を国権の最高機関である国会の管理下に置くべきである。

「航空管制委任密約」など米軍に有利な様々な密約の廃棄と、横田空域・岩国空域の全面返還もむろん必要である。

日本の空を米軍の戦争の訓練に利用させず、真に日本の空といえるためにも。
(おわり)

[日本は主権国家といえるのか?]連載一覧>>
                                        
*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

合わせて読みたい記事

★新着記事