◆トランプ弾劾で制裁緩和?

しかし、現時点で、制裁が解除に向かう見通しはまったく立っていない。北朝鮮国内では、貿易の極度の不振と市場の不況のため、制裁解除を渇望する空気が満ちている。中ロが昨年末に安保理に制裁緩和決議案を提出したというニュースと、米国内のトランプ大統領弾劾の動きに関するニュースが北朝鮮国内でも知られるようになって、根拠なき噂が膨らんでいると見られる。

「厳しい制裁を長く受けているため、今も平壌の貿易会社は右往左往している。中国が緩和に動くなら国境地帯の貿易や密輸に、まず変化があるはずだが、中国側には何の変化も見られない」
取材協力者はこのように述べた。

北朝鮮国内では、昨年2月のハノイでの朝米首脳会談の際に制裁緩和への期待が膨らんだものの、協議物別れで失望が充満した。また、昨年11月頃から、米国内のトランプ弾劾の動きが伝わると、「トランプ退陣で制裁解除」という噂が駆け巡った。経済不振の批判の矛先が政権に向くのを恐れたのか、当局は度々「過度な期待」が拡がらないよう、流言の統制に乗り出していた。

実際、経済沈滞が長期化しても打開の糸口見いだせない金正恩政権に対する不満の声が高まっている。昨年末、平壌から中国に出国してきた貿易商は、「国民に負担と『自力更生』ばかりを要求する政府を評価する人がどこにいるというのか。すべての貿易機関は、祈るような気持ちで制裁が緩むのを待っている」と述べ、いら立ちを隠さなかった。(カン・ジウォン)

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