(参考写真)平壌中心部の牡丹(モラン)市場の食品売り場。働く女性たちは店員ではなく、幅約80センチの売り場の経営者だ。2011年7月撮影ク・グァンホ(アジアプレス)

◆国策事業への支援金徴収で庶民悲鳴

――市場の統制はあるのか?

「これまで通り韓国産品は流通一切禁止、服は派手なもの、英語や中国語の文字が大きく書かれたものは統制するが、他には特にない。それより、各種支援金の要求がひどくて、それに対する反発が一番大きいのではないか。

やれ三池淵(サムジヨン)観光地区支援だ、どこかの発電所建設支援だ、軍隊支援だといって金を要求する。でも金額は定めず、忠誠心を見せろという。市場は売台の位置によってよく売れる場所とそうでない場所があるが、支援金の額によって場所が決められる。『支援金のせいで人民は干上がってしまう」と人々は言い合っている」

――平壌市民に対する食糧配給が停止されたそうだが?

「いや、配給は昨年下半期に復活した。中国産の白米1対トウモロコシ9だが、全世帯に規定量を出している。でも、それで暮らせるのは一週間程度。絶対に現金が必要だ。職場、企業で出す配給は、経営状態によって格差が大きい」

※注 90年代の経済破綻によって食糧配給制度はほぼ崩壊したが、唯一平壌だけが全住民対象の配給が維持された。いわゆる「首都米」である。制裁で経済悪化が深刻化した2018年の終わりか、あるいは2019年に入った頃に、平壌市民対象の配給も停止になった(2017年という説もある)。それが、2019年後半に復活したと、この貿易商は述べている。6月の習近平主席の北朝鮮訪問を機に、大規模食糧支援が行われたと言われており、それで配給が復活したのかもしれない。
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