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季刊誌 北朝鮮内部からの通信〜リムジンガン 第2号・夏号
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ico_new.gif北朝鮮―映像取材ルポ 平安北道朔州(サクジュ)郡を行く 2 リムジンガン
[解説]辺境の軍需産業都市は寂獏としていた(承前)
実際に訪れて見てみると、金正日の論文で強調されていた、こぢんまりして上品な地方産業は影が薄く第二経済委員会傘下にあり、大口径の曲射砲を生産する…

ico_new.gif偽ドル[北朝鮮のことば] リムジンガン
平壌市の黄金原(ファングムボル)駅とキョンフン通り周辺の外貨商店(外貨でのみ販売する店)も、すっかり夜の闇に包まれた。いつしか人影も途絶え、もう両替をしに来る客もいそうにない…

ico_new.gif北朝鮮―「私は政治犯収容所に10年いた」 リムジンガン
北倉(プクチャン)18号管理所出所者の証言 12
「第18号管理所」事件
 ●事件の発端「申訴事件」(承前)
申訴者を放っておいたら自分たちが危ないということをよく知っているXの一派は、検閲員がテープを手に入れて平壌へと戻るやいなや…

ico_new.gif北朝鮮―「表現の自由、言論の解放が必要です」[若者の声] リムジンガン
23歳青年が考える祖国の発展の条件 1
朝鮮北部で暮らすキム・ギファン(仮名、二〇〇八年七月現在二三歳)は、中学生だった一八歳の時に金属の売買をしていたが、これが違法行為として保安署に逮捕され…

ico_new.gif北朝鮮経済官僚極秘インタビュー リムジンガン
我が国の経済動向 12
外の世界の知識や情報の欠如
今日の経済的な問題点は、言論や学問の自由がないことに帰結するのだろうか?
ケ・ミョンビン:現在明らかなことは、国内経済難の打開も改革も…

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中国  何はともあれ、食べるならコレ 加峯尋





 雲南省名物、「過橋米線(クオチャオミーシェン)」は、間違いなく、いまのところ中国でもっとも気に入っている食べ物だ。省都・昆明(クンミン)での取材は終わったが、これを食べずに去るわけにいかない。

 「米線(ミーシェン)」とは文字通り米の線だから、米でつくった麺つまりビーフンのことだが、「過橋米線」はそんじょそこらのビーフンではない。

 まず、運ばれてきたときのインパクトが素晴らしい。巨大な土鍋に煮えたぎったチキンスープ、麺、具が、それぞればらばらに運ばれてくるのである。具は、軽く火を通しただけ、もしくは生の、肉・イカ・魚・野菜など(店や値段によって中身は異なる)。これらを、超高温のスープのなかに入れて、ひとまぜ、ふたまぜ、それからおもむろに麺をスープにぶちこみ、またひと混ぜ、ふた混ぜ。火が通ったことを確認してからいただく。コンロなしで一人鍋をしているような気分で、とても楽しい。

 量もたっぷりある。私は普段、一人前の食事を前にすると常に、また満腹中枢が満たされないのではないかという不安に襲われる大食いである。そんな私の強迫観念を、巨大な土鍋は軽やかに解き放ってくれる。ちなみに、今日入った店では、写真のこの量で小碗、6元(約80円)だった。(大碗は9元。)

 「過橋米線」には逸話がある。話してくれる人によって微妙に内容が異なるのだが、だいたい総合すると、こんな感じだ――むかしむかし(明清時代?)、雲南にひとりの男がいた。けっこうな秀才だったが、科挙(官吏試験)になかなか合格できなかった。そこで、河のなかにあった小さな島に書斎をつくり、こもって受験勉強をすることにした。彼の妻は毎日、家から小島の書斎まで食事を運んでいった。しかし、運んでいるあいだに料理が冷めてしまう。そこで妻はある日、ぐつぐつ煮えたスープを土鍋にいれ、麺や具と別々に運ぶことを思いつく。妻の機転とおいしい米線のおかげで、男はついに科挙に合格できましたとさ。

 内助の功ばんざい、みたいな話だが、男が科挙に合格したあと浮気して、激怒した妻は離婚し、「過橋米線」屋をつくって大繁盛しましたとさ、というオチがあったりするんじゃないだろうか。と、力こぶのありそうな両腕で土鍋を運んでいる店の女主人を眺めつつ、麺をすすって妄想する。

 最後は、スープを飲む。匙なんか使うのはまだるっこしいので、地元の人たちは土鍋をもちあげて、ずずずっとやる。もちろん私も。非常に満足する。ただ、昼ご飯に「過橋米線」を食べたあとの午後は、胃がとてつもなく重くなり、睡魔との闘いになることは、覚悟しておかなければならない。

(11月29日)