「這一次(ジャイーツー)、我們(ウオメン)来談性(ライタンシン)(今回は、性の話)!」前編
親愛なるmaiko
ずいぶん会ってないねえ。さみしいでしょ、じつは。ジタン(季丹)は、「男は君の地獄、君は女の天国」、だって(※訳注1)。ハハハ、これじゃ私って同性愛みたいに聞こえるね。違うんだよ。私はたんに、男性恐怖症的女権主義者なの。しかも、男性恐怖症は、私の過剰熱愛のせいで、いつも結果がうまくいかないから。私の愛が加熱しすぎて、男のほうもこわがって逃げちゃうんだよね・・・。
そんなわけで、憂鬱になってはどんどん食べて、私はまたどんどん太ってる。ある親切な男の人が、見るに見かねてアドバイスをくれた。君はさ、ぶさいくってわけじゃないんだけど、要は女らしさが足りないんだよ。君に興味を持つのはバイセクシャルの男ぐらいだと思うよ。どうかな、髪でも伸ばして、ちょっと女っぽさを出してみたら。
ちょうど、仕事とかいろいろしんどくて、しかたなく髪の毛は伸び放題、なにやら仙人風味も漂いはじめてる。せっかく伸びた髪だから、テレビCMのなかの自信過剰な女たちのように、さっと一振り、もう一振り。そんなことしても注目の的にはなれっこない。
で、私の新しいヘアスタイルができあがってきました。カボチャの上に、モップがついてます。
はあ。自分で書いてて傷ついてきちゃった。みんな口が悪すぎるんだよ。
よし。もうちょっと建設的な話題に移るよ。北京に来てからこれまで、私はあわせて3人の男性と、数え切れない女性と知り合ってきました。そして今日、若者の性の問題の専門家とあたらしく知り合いました・・・・・・非常に不幸なことに、また女性です(ほんと、プレッシャーを感じる。世界にはなんでこんなにたくさん、私より賢くてきれいな女のひとたちが存在するの?うう!)。
彼女の名は、ホアン・イーファン(黄義方)。ホアンさんは、助産婦をしていた19歳のころ、自分よりも若い女の子たちが堕胎をしにやってくるのを見て、突然、なんとかしなくてはと思いたったそう。そこで、ボランティアで若いひとたちへの性教育を始めたの。最初は知り合いや友だちの子どもたちに話をしていたのだけれど、評判が立って、そのうち、ほとんどその道の専門家のようになってしまった。各地のさまざまな学校を訪れては、生徒たちに喜んで聞いてもらえるような話し方を工夫して、軽妙に愉快に講座をすすめていく。すごく受けがいい。
ホアンさんによれば、中国の若者の性の実態は、実は想像するほどおそろしい状態ではないとのこと。全国的に信憑性のある統計というのは目下のところないのだけれども、彼女自身が見聞きしてきた案件やいろいろな報告から分析すると、中国の若者はまだそうとう保守的なんだそう。
アメリカや日本といった先進国に比べると、それでも「オクテ」というところかな。とはいえ、昔に比べれば、状況は日増しに深刻になってきている。何もかもがスピードを増して、責任感は加速度的に消失していく。子どもはどんどん欲望に操られ、自分を守ることを忘れていく。
中国のどこでも、街角、地下鉄の駅、バス、電柱、いたるところに「各種性病治療」と「無痛堕胎」の広告がベタベタ貼ってある。なかには、「保証します。堕胎しても仕事や勉強に影響なし。また妊娠できます」なんて書いてあるものもある。
ホアンさんは、この手の広告はぜんぶ信用してはいけないと教えてくれた。堕胎すれば仕事や勉強の時間に影響を及ぼさないということはないし、再び妊娠できるかどうかの保証もない。彼女は私に、この方面の知識を細かく伝授してくれた。堕胎をした子宮は剥けば剥くほどうすくなっていく冬瓜(トウガ)みたいなもので、最後には妊娠することができなくなり、破裂してしまうことさえある。
だから若い女の子は、しっかり自分の身体をいたわらなくてはいけない、と。彼女が言った一言には本当に同意。「子宮はちゃんと機能があるうちは、使わなければ特にありがたみもないって感じでしょ。でもいったん失ったあと、またこの機能を使いたいと思ってしまったら、本当に大変だよ!」
いろいろ疑問に思っていたことを、私はホアンさんにつぎつぎに質問していった。
※訳注1:ジタンはチェン・ジャニと訳者の共通の友人。このセリフの原文は「男人是我的地獄、我是女人的天堂」で、中国語お得意の対句表現なのだけれども、この手の修辞法は日本語に訳すとなんだかひどく間抜けな感じになってしまうので、訳者は頭が痛い。男たちはチェン・ジャニに冷たいが、チェン・ジャニは女に優しい、というほどの意味。
(後編につづく)
※筆者プロフィール
チェン・ジャニ(陳佳〓)
1985年中国雲南省・昆明生まれ。男の子を待ち望んだ両親のもとに授かった女の子。
遊びたい盛りの3歳から演劇・曲芸・京劇・絵画などを習い始め、コンテスト・フェスティバル・テレビ番組に絶え間なく出演する。15歳で個人散文集『童言有詐』、17歳で小説『猪未央』を出版。作家を志すも、まずは大学受験に苦しむ。北京の中国人民解放軍芸術学院に合格を果たし、中国文学を専攻するも、今度は映画を撮りたくなる。人生なかなか思いどおりにいかないことにようやく気づき、最近は静かになる。大学生活を送りつつ、初めての取材ルポ『中国青少年成長問題報告』を執筆中。
幼い頃から、科学嫌い、数学嫌い、名誉や利益に淡白、仏教を信仰する。趣味はダイエットと食べること。(〓は、女へんに尼)
※訳者紹介
maiko チェン・ジャニの友人。北京に滞在するあいだはルームメイトになり、東京に戻っているあいだはメル友になる。年齢はチェン・ジャニより10近く上だが、頼りないためかまったく年上扱いされていない。




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