イラン3点 おしん7点(?)
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| スタジアム前のサンドイッチ売り。火を通したハンバーグと野菜を挟んでくれる。 | スタジアム前の売り子たち。正面はひまわりの種。 |
「日本人か?」
「そうだが」
「新年おめでとうっ!!」
「(へ?)。いえ、こちらこそ新年……」と言いかけた頃にはもうモミクチャにされ、「おー!ツバサが来たぞ!」「ツバサだ、ツバサだ!」「ナカタは来てるのか?」「ナカムラは来てるのか?」
「2人とも来てますよ」
「おしんは?」
「おしんはちょっと……」
イランでの『おしん』放映はもうかれこれ20年近く前のことになるが、どう考えても『おしん』を観ていない世代でさえ日本人と見ると『おしん』を口にせずにはいられないらしい。『おしん』は一つの伝説なのである。
小学生の坊やが「イランと日本どっちが勝つ?」と下から見上げるように聞いてくる。彫りの深い、ただでさえギラリと光る無数の眼に囲まれて、わたしはつい言いよどむ。それをいいことに「2−0でイランだよ」「いいや3−0」「3−0だな」。誰もが日本に1点も入れさせたくないらしいのが癪に障る。
「1−1」だ、と私。
中途半端な答えに一同顔を見合わせる。
「アウエーで同点ってことはつまり、日本の方が強いってことさ」
「ナニィィィィ!!」とまた全員がいきり立ち、不毛な点数の言い争いが始まる。一人が叫ぶ。「イラン3、日本0、おしん7!」。どっと笑いが起きる。なぜかこれには誰も反論しなかった。





