![]() 【「アフガンからイラクにきた妖怪〜ザルカウィの死は宗派抗争を終わらせ和解の扉を開くのか?」という見出しのイラク紙】 |
「6月7日、イラクの聖戦アル・カイダ機構の首謀者アブ・ムサブ・ザルカウィを殺害した」と米軍は発表した。潜伏先とされるバクーバ近郊の民家に向け、戦闘機から精密爆弾でピンポイント攻撃する「作戦時のビデオ映像」が会見の席でながされた。「作戦時の映像」というのは、要するに人を殺す瞬間の映像だ。破壊された潜伏家屋にはザルカウィを含めて8人がおり、ザルカウィ2番目の妻と5歳の娘もいた、とされる。
人間の首を切り落とす「斬首映像」や、仕掛け爆弾で米軍車両を吹き飛ばす動画映像を、派手なタイトル字幕をつけて公開するザルカウィの手法もすごいが、米軍はフセイン大統領の息子、ウダイ、クサイの死体映像、そして今回のザルカウィ殺害映像を、記者を集めて大スクリーンで公開してきた。「敵」を殺害し、その映像を公開してプロパガンダに使う点は、どちらも同じではないか。
【ザルカウィの後任とされるアブ・ハムザ・ムハジェル。現在、イラク北部キルクーク近郊のハウージャに潜伏中といわれる】 |
シーア派もクルド人もこの殺害のニュースに大喜びしているのだが、ザルカウィを殺害したところで、テロとの戦いに「勝利」したことにはならない。「敵」は姿の見えないままアメリカと戦い、怪物となった。そして、姿の見えないまま殺された。
ザルカウィは、「殉教者」となったが、すでに「後任」としてエジプト人のアブ・ハムザ・ムハジェル(またの名をアブ・アユーブ・マスリ)が任命された。結局、また「見えない敵」を捜して、テロとの戦いは続く。
「テロとの戦い、ああ、やってくれ。でもなぜその場所がイラクなんだ。テロがなくなるのは大賛成だ。でも、ブッシュが戦いたいというのなら、アメリカ国内でやってくれ」
米軍の誤射で片腕を撃ち抜かれたモスルの青年が言った言葉を思いだす。
イラク人は米軍の占領を終わらせたいとは思っても、斬首や自爆攻撃を通じてなどとは思っていない。米軍がいきなり即時撤退すれば、イラクはさらに無茶苦茶になるとも思っている。
いま、一辺倒に「反米」だけを叫ぶものはない。シリア、イランなど隣国がさまざまに介入し、混乱を拡大させている、外国人が国を破壊しにきている、と普通のイラク人は感じている。ザルカウィも、後任のムハジェルもイラク人ではない。ザルカウィは死んだが、イラクでの暴力がやむことはない。
【関連リンク】
坂本卓のクルディスタン日誌 「ザルカウィの右腕時計」 (2006/06/01)
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)





