■PKKのシグナル<PKKゲリラキャンプ取材>(1)
今月上旬の半月だけでトルコ兵15人死亡。南東部各地のPKK(クルディスタン労働者党)との衝突での犠牲者だ。トルコ軍はPKK壊滅に向け、強硬な姿勢を崩さない。
PKKは「ゲリラによる攻撃は自衛のための反撃に限定する」などとしているが、自衛目的ならトルコ南東部の都市部にまで戦闘員を送り込む必要はない。PKKは、戦闘員(ゲリラ)は山岳地帯で活動、連絡協力者(ミリス)は農村・都市部で工作・中継任務と振り分けてきた。
PKKはいま、何のために、トルコ国内での軍事活動を活発化させているのだろうか。
このかんの動きはPKKによるトルコ国内のクルド運動へのシグナルではないか、と私は感じている。現在、トルコで最大のクルド系合法政党はDTP(民主的社会党)だ。PKKが非合法組織なのに対して、DTPは南東部で市町村など自治体首長を選出する公党だ。その前身であるDEHAP(民主人民党)、HADEP(人民民主党)、さらに遡ってHEP(人民労働者党)、DEP(民主主義党)など、いずれもトルコ政府が、「PKKの隠蓑」として「分離主義活動・テロ活動への関与」を理由にことごとく閉鎖措置を下してきた。
EU(欧州連合)入りをめざすトルコの人権状況は、近年、かなり改善された。長年の人権運動の成果に加え、EUの人権状況改善勧告を渋々ながら受け入れた結果といえる。クルド人が求める母語やアイデンティティーの権利に譲歩は示されないままだが、警察や軍による拷問は減少し、クルド人の集会も部分的に認められるようになった。一方で、PKKは武装ゲリラ組織をもって、トルコのクルド組織への強力なヘゲモニーを維持してきた。そして、ときとしてPKKはトルコ国内の運動にシグナルを送ってきた。HADEPの元議員ヒクメット・フィダンが「強盗らしき者」によってディヤルバクルで殺害された(2004年)。彼は、PKKの武装解除路線の仲介役として動いていたといわれる人物だ。このとき、これはPKKからのメッセージだった、と受けとったクルド人は少なくない。
2004年、クルド人女性議員レイラ・ザーナが、釈放された。トルコ議会でクルド語を話したとして1994年に逮捕され、国家反逆罪などで投獄された彼女は、トルコにおけるクルド人権運動のヒロインともいわれた。釈放後、PKKの影響力は認識しつつも、PKKの戦闘的性格に批判的だったクルド人士も取り込めるような幅広い民主運動を指向していたといわれる。だが、その思いとは裏腹に、彼女らがたちあげたDTH(民主社会運動)は、結局、DEHAPと合流し、事実上、PKKの影響下に取り込まれることとなった。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)




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