■PKK掃討作戦の緊張と「ある事件」
![]() 【イラクで活動をするPKK系のイラク政党PÇDKのポスター(アルビルで)】(撮影:坂本卓) |
さる7月4日、イラクのザバリ外務大臣(クルド人)がトルコ・アンカラを訪問し、トルコ政府首脳らと会談した。この際の重要な議題の一つがPKKをめぐる問題だったといわれる。
そして、22日、タラバニ大統領は、「イラク領内が、トルコを攻撃する拠点となることを認めない」と発表し、PKKに対し、イラク領国境地帯をトルコ攻撃の出撃拠点としていることを止めるよう求めた。つづく25日にはバルザニ・クルディスタン地域大統領も同じコメントを述べる。
ザバリ外相のトルコ訪問直後の7月10日、クルド地域のアルビルで、ある事件が起きていた。市内の消防署近くで爆発物が爆発したというものだ。直後に2人が拘束され、「自分たち「PÇDKのメンバーだった」と自白したと地元メディアは報じた。
PÇDK(クルディスタン民主解決党)はPKK系だが、イラクの合法政党で政党登録もして活動している。クルド地域治安総局アサイシが深く関係しているこの事件は、イラク政府あるいはクルド自治政府がPKKに発したメッセージだったと思われる。
この事件を理由に、PÇDKに活動禁止処分が下る。イラクではPDK(クルディスタン民主党)とPUK(クルディスタン愛国同盟)が実質上、クルド代表政党であり、PÇDKはほとんど支持基盤を持っていない。活動禁止措置といっても、実質的にPKKにはなんのダメージもない。
その後、事態は奇妙な展開をみせる。事件への関与を否定したPÇDKは、禁止措置を不服として取り消し処分を地域政府裁判所に求めた。ところが、拘束された2人は治安当局関係者だったということが明らかになり、クルド地域でのPÇDKの活動禁止処分は突然解除される。
強力な権力機構を持つ地域政府が、簡単に決定を翻すのは不可思議だ。この事件は、「PKKの自由な活動は認めてはいない」とトルコに対するイラク側のポーズだったのか。それともPKKになんらかの警告を発したものなのか。
トルコはPKK展開地域に限定空爆を検討中といわれる。イラク北部のトルコ企業やトルコ人ビジネスマンに「退避勧告発令」を示唆するほど状況は逼迫しているという報道もある。
「テロとの戦いをすすめるアメリカがテロ組織PKKを黙認するのは放置できない」とトルコ政府は繰り返す。一方、イラク・クルドは「PKK問題を解決させたければまず、トルコがクルド政策を変えるべき」とする「クルドの大義」を見せ始めている。
ザバリ外務大臣はアンカラ訪問でトルコ政府と何を申し合わせたのか。メッセージの意味はなんだったのか。越境空爆をまえにPKKがどういう反応を示すのか。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)





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