■PKKとTAK「クルディスタン自由の鷹(タカ)」(2) 
PKKが一方的停戦を宣言したときも、TAKは爆弾事件を起こしてきた。「PKKは平和を目指す」としながら、別働組織が無差別に民間人を殺傷しているのであれば、なんでもやり放題になってしまう。
PKK支持のクルド人と話すと、TAKの話題は極力避けようとするのがよくわかる。トルコのクルド問題の政治的解決に取り組んできた欧米諸国の人権団が、PKKとは距離をおこうとするのは、PKKによる無差別爆弾事件や民間人殺害を批判しているからだ。
トルコでは、爆弾事件はいまでこそ減少したが、かつては毎日のようにどこかで事件が起きていた。右翼や左翼、さまざまな過激組織が爆弾を使っていた。PKKも90年代前半、観光地での連続爆弾事件を繰り返した。
PKKがTAKを使って意図的な戦術で事件を起こしているなら、なぜ、このような手法をとるのか。トルコ政府は「PKKがテロ組織であるこの上ない証拠」とするのだが、ことはそう単純ではない。
TAKのようなクルド過激組織が爆弾事件を引き起こすことを、積極的にではなくとも、利用できると思っている勢力が政府部内にいる、と独立系クルドメディアは言う。トルコは、Derin Devlet(デリン・デヴレット=奥深き国家)と呼ばれる。軍やイスラム勢力など権力機構は、国家内で対立しながら駆け引きを繰り返してきた。
かつて軍情報機関は、「コントラゲリラ」として対PKK工作を積極的におこなっていて、トルコのヒズボラ(レバノンのヒズボラとは無関係)がクルド人の多いトルコ南東部で勢力をつけたのは、PKK壊滅のために情報機関が関与したからとされる。
「EU加盟問題で力をそがれるばかりの軍部が、存在意義を見せつけるためにいま過激なテロ組織を必要としている」とする見方は少数ではない。今後、トルコにおいてクルド問題などをめぐる政治の大きな節目に、TAKが「タイミングよく」登場してくることもありうる。軍がTAKを操っていることはないだろう。だが、PKKと政府、軍の影の綱引きに、TAKがなんらかの要素として関係していると見るのは間違いではないだろう。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)



