バグダッド従軍日誌 (4) 司令官の思い(2)
クルディスタン日誌というより、しばらくは「バグダッド日誌」ですが、そのまま続けます。
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![]() 【シーア派が支配を強めているアーメル地区区役所の担当者ら(右)。拘束中のマハディ軍の釈放を米軍(左)に要求する。彼らにはひっきりなしにシーア派有力者から携帯電話がかかる】 |
そこへ、司令官が、ゆっくりと話し始めた。
「釈放は米軍にも検討してもらいましょう。米軍もこの国の再建に尽くそうとしているのです。それを不満に思う人もいるでしょう。その気持ちも分かります。なかには米軍を狙って狙撃する者もいるでしょう。でもマハディ軍の迫撃弾だけはやめてもらいます。砲弾は何の関係もない人の真上に落ちるんですから」
お互いの立場に敬意を払いながら、落ち着いて話を進めていく。
シーア派、スンニ派住民は、互いに相手を激しく罵りはじめ、会議は収拾がつかなくなった。
「私は、占領者の使徒ではなく、誇りあるイラク国民のひとりとして話しています。誰もが、この首都バグダッドの姿を悲しみをもって見つめています。もう誰かのせいにするのはやめにして、自分たちで責任をもとうじゃありませんか。私は、このイラクに、大きな希望を持っています」
この言葉に、両派住民は、しばらく沈黙した。
傍らで、この話をきいていた私は、なんだか目が潤んできた。
いまのイラクは、占領を受け入れるか、いや戦うのか、という単純な構図ではない。米軍の占領に加え、シリアやイランなど周辺国が武装勢力をあおり、さらには、イラク人どうしが宗派をめぐって衝突する事態となっている。
![]() 【「釈放なんてできない」と米陸軍第1歩兵師団の士官(右)。左は地元イラク人通訳。交渉相手の行政側がマハディ軍とつながっていることがわかってるので、報復を恐れ、マスクにサングラス。手袋までしていた】 |
自爆、殺戮、破壊の毎日。自分の宗派や集団のことをいやがおうにもつきつけられるようになってしまった社会で、だれもが生きる気力を失いはじめ、希望を断たれようとしている。
イラクの再建を信じ、力づくではなく、理解しながら解決の道をさぐろうとするナジール司令官。その思いが通じる日はくるのだろうか。
イラク軍部隊がアーメル地区に派遣されて以来、初めての住民会議。大きな前進だ、と司令官は話す。だが、一番の無念は、この2ヶ月のあいだに部下4人が武装勢力との戦闘で戦死したことだという。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)






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