アフガン韓国人人質事件〜「自己責任論」をあらためて考えてみる(その2)
![]() 【カンダハルでタリバンの掃討作戦を展開するアメリカ軍(FILE)】撮影:坂本卓 |
2004年4月、拘束された日本人人質の映像は、世界を駆け巡った。それからは、もうニュースは「ブチ抜き」の報道だ。
自衛隊即時撤退を日本政府に求める人質家族などもいて、「自衛隊撤退を」「テロには屈しない」など、議論が交わされた。このとき、バグダッドにいたので、正確な流れは把握していないが、「自衛隊撤退」という声への「反撃」として、「自己責任論」がでてきたといわれる。「自業自得だ」「税金の無駄だ」…
ところが、こんどはこれを打ち消すべく、いわゆる「賞賛論」が出てきた。「無謀なんかではない」「彼らは勇敢だ」「すばらしい活動をしていたから無謀よばわりは間違い」
私は複雑な心境をもって事態のなりゆきをバグダッドで見つめていた。自衛隊イラク派遣だけが事件の原因ではない。イラク戦争に参加せず、軍隊を送っていないフランスの記者も当時、誘拐されていた。そしてその後には、イスラム教徒の外国人まで次々と拉致されていった。
当時、米軍はファルージャで徹底的な空爆、包囲作戦を遂行し、武装勢力掃討といいながら、民間人を次々に殺害していた。ほかの都市でも民間人を犠牲にする米軍のムチャクチャなやりかたに対し、市民の怒りが頂点に達していた。人質事件はそうした状況下で起きたのだ。
「賞賛論」は、一見、人質たちを護るためのようにみえるが、これを持ち出すことで、「自己責任論」と同じ土俵にのってしまったと思う。そして、時間は刻々と過ぎていった。
日本政府が自衛隊を数日以内に撤退させる決断をするのは困難であっても、ファルージャ包囲空爆作戦で民間人に犠牲をだしている米軍に一時停戦を強く求め、すべての民間人は救出するよう外交ルートで強く要請することも日本人人質解放に大きく貢献できたはずである。
日本政府が米軍の作戦に口出しできないというなら、ファルージャ作戦での民間人負傷者をヨルダンの病院で救護することを申し出ることも可能だった。
当時は、イラク人が武装勢力の主流であり、聖職者協会のファトワ(宗教令)や地元部族の力は、大きな影響力があった。その後、外国からの義勇戦士が加わることで、反米抵抗運動は急速に変質する。
あのとき有効だったのは、具体的かつ可能な提案を公開することで、武装勢力に拒否する理由を与えなくすることだった。イラク人にとって「メンツ」は大きな要素なのだ。
高遠さんらの人質が拘束されている場所は、バグダッドから北にぬけたタージではないか、という情報が有力だった。おそらく日本政府も把握していただろう。だが米軍に解決を依頼すれば、まず強行突入というオプションだっただろう。(続く)
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)





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