アフガン韓国人人質事件〜人質解放の方策は
いまのような状況では、韓国は多額の身代金を払ってでも人質解放に持ち込みたいだろう。
先日も触れたが、日本人人質をとって「自衛隊撤退」を突きつけたイラクの武装勢力に対し、日本政府が「じゃあ撤退します」と即断できるものでもなかった。「撤退か否か」二者択一の大騒ぎになっているとき、田中康夫氏は「一時的に自衛隊をイラクからクウェートに移動させ、あとでまた戻す」と当時、提案した。このとき私は、なるほどと思いながらも、それはちょっと方向が違うぞ、とも感じた。
イラク自衛隊派遣の是非は別にして、当時、日本政府が事件に対してできた、もっと効果的で現実的な方法のひとつが、「ファルージャ空爆被害の民間人に対する緊急人道援助の表明」だったろう。
「テロリストとは交渉しない」というアメリカを気にしなくてすむし、なにより武装勢力にとっては政治的要求は達成できないものの、イラク人民の利益となるのであり、「大義」に十分かなうものだ。表明だけではなく、具体的に実行に動けば、交渉の「有利度」は格段に違ってくる。
武装勢力が「そんなのはまやかしだ」と拒否し続けて、人質を殺害すれば、自国民からの批判が向けられるようになる。(いまのイラクはそんなことは関係なくなってしまったが…) 最初から身代金目的なら話は別だが、人質をとられて政治的要求をつきつけられているなら、交渉の「落としどころ」というのは、相手の「メンツ」を立てるようにすすめるものだ。
タリバンが再組織化をはかり、勢いづいている要因のひとつが、カルザイ政権下での汚職や貧富の格差拡大だ。
「カンダハルなどに病院や貧困者向けの福祉施設を建設する」「荒れた農村に耕作機械を配布、給水設備を整備する」そして「これら事業はアフガン政府ではなく韓国が責任をもって実施、監督する」
韓国がこうした提案をすることは、タリバンに直接、多額の身代金を渡すこととはならないし、アメリカの顔色を伺わなくてもいい。
さらに難航するなら、「歴史的遺産としてのモスク修復、建設の支援事業」の表明も可能だ。
人質問題に交渉を限定するのではなく、「なにが問題の原因か」を理解し、可能な歩み寄りの姿勢を相手グループだけでなく、すべての人に示せば、解決への展望となる。人命がかかっている状況で、「テロへの屈服か、戦いか」に迷い込むべきではない。
すでに人質が2人殺害され、そんな考えは甘い、という見方もあるだろう。しかし、膠着状況で人質が肉体的にも精神的にも限界を迎えているなか、事態を動かすには転換が必要だ。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)



