新しいイラク国旗をめぐって(2)
■イラク国旗と愛国CM
武装勢力の攻撃が激しくなりはじめた2004年中頃から、イラク政府は「愛国キャンペーン」を大々的に始めた。テレビや新聞で、「イラク人のイラク」を強調し、国旗を前面にもちだしたのだ。
「イラク人のイラクを取り戻そう」
「誇りあるイラクを」
こうしたメッセージのスポットCMが繰り返しテレビで流された。これは「アメリカの占領に対するイラク人の誇り」を意味するのではない。「覆面をした外国人テロリストが爆弾をしかけてイラク人の家族を引き裂く」という映像とともに流されるメッセージは、国外からの武装勢力義勇兵はイラクを破壊しにやってきている、と強調し、国民に団結の呼びかけるものであった。そして、ほとんどが画面の最後にイラク国旗が浮かび上がる。
![]() 【「外国人ザルカウィはイラクを破壊しにやってきたテロリスト」を強調し、逮捕協力を呼びかけた。(2007年/イラキーヤテレビ)】 |
武装勢力に外国人が加わり、自爆や拉致をくり返しているのは事実だ。多くのイラク人が、殺し合いと破壊が続けば、国の再建どころかイラク人の誇りも失われてしまう、と思っている。広報はイラク人の心情を代弁している、という人もいる。一方で、米軍や民間警備会社の誤爆、誤射を告発するような広報CMはない。
これら突如として増えた愛国的なテレビCMは、イラク人が企画したものがあるのは事実だが、かなりのCMが米軍やアメリカの広告会社によって立案され脚本が作られていた。
「テロに立ち向かって国の再建を」という大きな街頭看板を手がけていた広告会社のイラク人幹部は、こうした看板の多くは発注元は自治体や行政機関でありながらも、代金は米軍によって支払われ、ときにデザインまでも米軍側が提供していたことを打ち明けてくれた。
![]() 【米軍との戦闘で死んだ青年を埋葬した友人たち。イラク国旗を広げて弔った(2004年 バグダッド)】 |
「占領者アメリカと戦おう」
「外国人テロリストの暴力に打ち勝とう」
外国人義勇兵の入り込んだ武装勢力、アメリカの意向を受けたイラク政府…。
双方が国旗と愛国的文言を前面に打ち出して団結を呼びかける宣伝合戦を繰り広げていくことになる。 いったい誰のイラクなのだろうか。
(新しいイラク国旗をめぐって(3)に続く)
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中 (坂本卓/アジアプレス)






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