新しいイラク国旗をめぐって(3)
■マウタニ(わが祖国)
2006年になるとシーア派とスンニ派の宗派対立が先鋭化し、イラクを覆う暴力はあらたな局面を迎えることとなった。
「スンニ派武装勢力の背後には外国人のアルカイダがいる」とするシーア派勢力。
「イランの後押しでイラクをシーア派の国にしようとしている」とスンニ派勢力は反撃する。
アメリカをはじめ各国がイラクをめぐって政治工作や陰謀をめぐらせる。その混乱と暴力のなかで、市民は死と隣り合わせの暮らしを強いられ、絶望だけがこの国を支配した。
フセイン政権崩壊後、少なくとも20万が命を落としたといわれる。そして、300万をこえる人びとが避難民となって、安全をもとめて別の町や国外へと去っていった。
![]() 【イラクのミニ国旗と携帯ストラップ。この国旗の文字「神は偉大なり」は旧政権時代バージョンで、湾岸戦争後、サダム・フセインの筆によるものを図案化して挿入したもの。携帯電話はフセイン政権後登場したので国旗携帯ストラップは新しいアイテム。ほとんど中国製だったりする】
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2004年4月、「新国旗」は失敗し、元の旗が使われることになったが、連合暫定当局(CPA)が統治権限を移譲した同年6月以降は、サダム・フセインの筆による「神は偉大なり」の書体だけ変えたものがこれまで使われてきた。
しかし、国歌については、かつてのバース党支持を歌いこんだ歌詞は変えることになり、新しいものが制定された。(その後も新国歌制定の動きがあるが政府内でモメ続けている)
パレスチナの詩人イブラヒム・トウカンによる歌詞は、英国の委任統治下のパレスチナでの祖国への思いをこめて書かれたものとされる。
新国歌「マウタニ」(わが祖国موطني )には、こんな言葉がならぶ。
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ああ、わが祖国よ。
安らぎと心地よき懐の、
健全で栄光ある、あなたを見ることができるのか。
〜中略〜
奴隷のごとき、終わりない屈辱と惨めなる人生を望みはしない。
われらは偉大なる栄光を取り戻すだろう。
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いまのイラクの現実をみると、それはなんとも皮肉であるとしかいいようがない。
![]() 【「イラク大好き」ステッカーも出回っている。緑の三連星を抜いたデザインの新国旗は国民に受け入れられるのだろうか】 |
昨年、バグダッドを訪れたとき、市内のあちこちでイラク国旗が掲げられていた。
「もうイラク人どうしが殺し合うのはやめにしよう」という思いをよそに、銃声や砲弾の音が響く街角になびいていた国旗は、なんとも虚しく、悲しく見えた。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中 (坂本卓/アジアプレス)





