■PKKは追い詰められているのか
![]() 【トルコ・ディヤルバクルの空港に駐機中のトルコ軍ヘリコプター(FILE)】(撮影:坂本卓) |
2月23日、PKKはトルコ軍のヘリコプターを撃墜したと発表した。PKKのイラン組織PJAK(Partiya Jiyana Azad a Kurdistane =クルディスタン自由生命党)は昨年2月、イラン西アゼルバイジャン州でイラン革命防衛隊の乗ったヘリを携帯ミサイルで撃墜しており、これと同じ攻撃と見られる。
PKKは、これまでに熱線追尾型SAM-7携帯ミサイルやストレラ2Mといった高度な武器を入手し、一部の前線に配備してきた。トルコ軍が戦闘ヘリを前線に大量投入して一気に掃射という戦術を積極的に展開できなかったのも、このミサイル攻撃を警戒してのことといわれる。
今回の作戦だけで、双方にすでに100名以上の死者がでている。イラクでの越境戦闘が長期化すれば、PKKよりもむしろトルコ軍への被害が拡大することになる。
実質的にPKKゲリラ組織を率いている最高中央委員幹部のムラット・カラユランは、クルド衛星放送ロジテレビのインタビュー番組で、トルコ軍によるイラク越境攻撃について、「PKK一掃化を狙ったもの」「キルクーク帰属問題へのイラク・クルドへの圧力」などと見解を述べている。
![]() 【クルド衛星テレビのインタビューに答えるムラット・カラユランは、獄中にあるオジャラン議長にかわり実質的にPKKを率いている最高中央委員会のひとり】(ロジテレビから) |
トルコ軍は「イラク越境はテロ組織PKK掃討を目的としたものであり、それ以外の意図はない」としているが、イラクのクルド人は、キルクーク帰属問題への動きにあわせてトルコ軍の対PKK軍事作戦がおこなわれてきたことから、これをイラクのクルド人はクルディスタンが油田都市キルクーク獲得阻止への圧力と受けとめている。
イラクでの政治的基盤をもたないPKKが政治的にイラクで存在できたのは、これが背景にあった。キルクーク問題が続く限り、イラク・クルディスタン政府側にとってPKKという切り札は有効であったはずだが、イラク・クルドでは、ここにきてPKKを「厄介者」と見るクルド人も出始めた。
状況は微妙に変わりつつある。イラク戦争後、北部のクルディスタン地域にはトルコ企業が大挙して押し寄せ、「復興バブル」ともいえるほどの活況を呈してきた。しかし、トルコ軍とPKK衝突の緊張で、トルコ企業はすでにクルディスタン地域から撤退を始めている。投資をおこなってきたトルコ企業もさることながら、建設などで雇用の機会をえたクルディスタンの人びとも大きな影響を受けることになってしまった。
トルコで活動するPKKも同じクルド人の組織だ、という声が2003年以降、増えていたのだが、昨年、イラクのクルド人のなかにはこう話す者もいた。
「PKKのせいで仕事が減った。トルコ軍と戦うならトルコでやってくれ」
トルコ軍が強行な姿勢を崩さず、イラク・クルドに圧力をかけ続けるのも、こうした心情の変化を起こさせるためであったのではないだろうか。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)






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