■トルコ軍、イラクから"撤退"
![]() 【PKK最大の拠点カンディル。岩山をダイナマイトでくりぬいた巨大な防空壕で集会を開くPKKゲリラ】(FILE/2003年/撮影:坂本卓) |
2月29日、トルコ軍がイラク北部から、部隊を撤退させたと発表した。トルコ軍は「予定された作戦が終了したから」としている。
「PKKに壊滅的打撃」といった見出しがトルコの新聞紙面やテレビ画面に踊るのは毎度のことだ。一方、クルド系メディア、欧米メディアの記事には、「PKKの逃げ勝ち」「生き残ったPKK」などと伝えているものがある。
イラク・クルドのメディアは、昨年からのゲリラ拠点への攻撃は、トルコ大統領選挙、イラクでのキルクーク帰属をめぐる住民投票、トルコの女性スカーフ問題など、トルコの情勢に呼応するかのようにおこなわれてきた点を指摘する。
PKKは、こうした見方は誤りだ、とするが、越境攻撃とトルコの動きは読んでいたであろうし、トルコ軍の越境作戦も「想定の範囲内」だったようにも見えてしまう。そもそもこの越境攻撃とは何だったのだろうか。
アメリカやEU諸国はイラク越境攻撃に懸念は示したものの、トルコに対して具体的かつ強硬な措置をとってはいない。
イラク政府、そしてクルディスタン地域政府は、トルコ軍の国境からの撤退を歓迎している。
どんな理由があれ、イラクにとっては越境攻撃は、「領土侵犯」であり、主権の侵害である。「侵犯行為を認めない」とするのであれば、イラク軍を国境地帯に集結させるなど、トルコに対してある程度の「意思表示」をすればいいのだが、そうしたことを行ったわけでもない。
![]() 【昨年12月末のトルコ軍の空爆でPKKの各拠点はダメージをうけたとみられる】 |
PKKは声明の中で、このかんの越境攻撃を「南部への侵略」(dagerkirina başur)と表現してきた。クルディスタンにおける南部とは、イラク領クルディスタンをさす。
トルコ軍は「テロリスト掃討」を名目にいつでも越境を再開させることができるし、雪どけになる春に再び軍を送ることになるかもしれない。
これまで、PKKは、誰かの「厄介者」ではあっても、使い勝手のある「厄介者」という側面もあった。トルコの軍部やトルコ政府は、さまざまな意味でこうした事情を利用しようとしてきたし、シリアもイランも、そしてアメリカも、各々の理由から利用しようとしてきた。
PKKにとっての危機とは、周囲のだれもから本当の意味で「厄介者」とされたときだろう。だからこそ、PKKは、とくにイラク戦争以降、組織再編を繰り返し、自身を取り巻く状況に合わせるよう、「生き残り」をはかってきたのではないか。
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イラク・トルコ・イラン・シリアにまたがるクルディスタン。分断民族クルド人とは。クルド問題とその他の地域も取材中(坂本卓/アジアプレス)






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