マデシ合意の背後にあるもの
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2月28日の政府と統一民主マデシ戦線の合意により、4月10日の制憲議会選挙が“ほぼ確実”となった。
“確実”と言いきれないのは、ネパール政治は不測の事態により事態が一変する可能性が大であるからだ。
しかし、この合意で選挙実施の可能性がかなり高くなったことは事実である。
そして、マデシ戦線との合意でも、昨日、連邦共和国民戦線と政府が交わした合意でも、「連邦共和制」が合意内容に明記されていることから、4月の選挙後に開かれる制憲議会の初日に王制が廃止されて、ネパールが共和制になることも確実になったことになる。
さて、多くの人が抱いている疑問は、ギャネンドラ国王が(そして、一部外国勢力が)共和制への動きを、何もせずに、黙って見過ごすのだろうかということだ。
選挙が確実になったということは、王制を維持するためには、国王にはすでに最後の“藁”にすがるしか方法がないということだが、この藁が王制を守ってくれる可能性はかなり低い。
国王がクーデターを試みたとしても、ネパール軍内でこれに従う勢力は、かなり少数派になっていると言われている。インドや国内のヒンドゥー原理主義者たちにできることも、たかが知れている。
今回のマデシ戦線と政府の交渉の過程では、インド政府がはっきりとした形で影響を及ぼした。
一度はインド大使館で対話がもたれたほどである。
マデシ戦線の3政党はそれぞれ多少なりとも、インド政府のコントロール下にあるが、今回の交渉で最も不審な行動をとったのは、マデシ・ジャナアディカール・フォーラムのウペンドラ・ヤダフだった。
私がリバンに到着した24日夜午後8時すぎ、テレビの特報で「ウペンドラ・ヤダフがヘリコプターでカトマンズに到着した」というニュースが報道された。
実はこの夜、マハンタ・タクールとリデシュ・トリパティの2政党は、政府側と合意に達していたのだが、ヤダフが対話に加わったあとに、「制憲議会選挙の日程を少なくとも一月延期すること」と、そのために「暫定憲法を改定すること」を要求したために、対話が決裂してしまった。
この日には、スールヤ・バハドゥル・タパのラシュトリヤ・ジャナシャクティ党も、突然、選挙ボイコットを宣言している。
ヤダフとタパの動きの背後には、同じ勢力の意図があったという噂もある。
ヤダフの“新要求”の背後には、明らかに王室、あるいはインドの何らかの勢力(ヒンドゥー原理主義者か?)がいると考えられるが、タパの突然のボイコット宣言の背後に、ソニア・ガンディーがいるという記事もある。
ソニアの義理の母親にあたる故インディラ・ガンディーのときから、ガンディー家との関係をもつタパの息子夫妻が、ソニア宅の晩餐会に招待され、その直後に息子を通じて伝えられた“指示”にしたがって、タパはボイコットを宣言したというのである。
前から噂されていることだが、サウス・ブロックはコイララ首相の舵取りが気に入らず、王制維持のために、タパを首相に据えたい意向だという。タパは現国王にも近い人物。
王室にとって、“最後のカード”だともいえる。
もっとも、タパを首相にするなどというシナリオを、今のネパール国民や政党が受け入れることは考えられない。
タパは、もはや「過去の人物」でしかなく、彼がどんな政治家であるかを、ネパール国民は知り尽くしている。
これは非現実的なシナリオでもある。つまり、インド政府は他に現実的なシナリオをもたないということでもある。
さて、これから選挙までの38日間のあいだに、何が起こるか、あるいは起こらないか、とても気になるところではある。





